付喪神図
伊藤若冲
作品解説
若冲のユーモアと奇想が炸裂する怪作「付喪神図」。付喪神とは日本の民間信仰に見られる考えで、古くなった道具や自然物に神や霊魂などが宿って動き出すというものです。ぼんやりと光がともる暗閣の中でうごめく付喪神たち。手前の一団は茶釜や水さし、茶碗など茶道具の妖怪で、後ろには燭台や鳥兜、琴や琵琶などの妖怪が続きます。どれもみな恐ろしいような可愛いらしいような。正座でおじぎをしている茶釜は福助人形の姿も連想させ、若冲のユーモアが滲みます。室町時代以来「百鬼夜行絵巻」など数多くの妖怪画が描かれてきましたが、この作品はその中でも指折りの魅力を持っています。現代の妖怪漫画にも繋がる色褪せない魅力なのかもしれません。
制作年
江戸時代・18世紀
素材/技法
紙本墨画 一幅
制作場所
日本