電信柱、カラス、その他
Electric Poles,Crows and Others
会田誠
作品解説
会田誠が森美術館で行った個展「天才でごめんなさい」のために描きあげた作品です。淡い色合いの空の中に不安定に建っている電信柱、それらを繋ぎ止めている電線の上には無数のカラスが描かれています。さらにそのカラスたちはセーラー服の襟元やヒトの眼球、ちぎれた指のようなものを啄んでいます。それぞれを観ると不安定でグロテスクなモティーフばかりですが、絵画を全体的に観てみると落ち着いた印象で、静寂すら感じられます。その大きな要因として考えられるのは、この作品が菱田春草《落ち葉》(1909年)、長谷川等伯《松林図屏風》(安土桃山時代(16世紀))からインスピレーション受けて描かれているということかもしれません。平面的でありながら無限に広がる奥行きを感じる空間表現、そしてなにより構図からこれらの作品を参照していることは明らかです。様々な作品のパロディーを描いてきた会田誠ですが、特にこの作品では独自の表現や作者の意図を感じ取ることができます。
制作年
2012
素材/技法
六曲一隻屏/アクリル絵具、キャンパス、パネル
制作場所
日本