サント=ヴィクトワール山

Mount Sainte-Victoire

ポール・セザンヌ

作品解説
「サント=ヴィクトワール山」のタイトルでセザンヌは多数の作品を描いていますが、回を追うごとにその作風は変化しています。この作品は晩年の少し前に描かれたもので、丸みを帯びた輪郭線が特徴的、この時期のセザンヌの作品には同様のフォルムがほかにも見られます。また、サント=ヴィクトワール山が遠景ではなく正面に迫るような迫力で描かれている点も、この作品の大きな特徴です。画面下の中央にはやはり丸い輪郭で農道が描かれており、輪郭線によってこの道の険しさを表現しているかのようです。セザンヌは構図や陰影ではなく色彩によって遠近感を表現しようと試みましたが、この作品はまさにその集大成と言えます。
制作年
1898年 - 1902年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
エクス=アン=プロヴァンス