幼児虐殺

The Massacre of the Innocents

ピーテル・ブリューゲル

作品解説
『幼児虐殺』は聖書の場面を描いた、ピーテル・ブリューゲルによる作品です。ユダヤの王ヘロデ大王が、新しく生まれた男児がヘロデ王を滅ぼし王座に就くという予言を恐れ、ベツレヘムに生まれた2歳以下の男児をすべて殺せと命じたという『マタイ伝』の逸話に基づいています。しかし後年、幼児たちは動物や荷物に描き変えられました。誰が書き直したかはわかっていませんが、この作品を神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世が所持していました。そして叔父のスペイン国王フェリペ2世が、1万人の部隊をフランドル地方に派遣し、プロテスタントを弾圧した事件がこの作品が描かれた時期と重なっており、ピーテル・ブリューゲルはこの事件と聖書の『幼児虐殺』を重ね合わせて描いたとされています。おそらくこれを知ったルドルフ2世が、所持していた時期に書き直されたと考えられています。
制作年
1565年
素材/技法
油彩パネル画
制作場所
ベルギー
所蔵美術館
    ハンプトンコート王室コレクション