ベルヴェデーレの聖母

Madonna of Belvedere

ラファエロ・サンティ

作品解説
ルーヴル美術館蔵の『美しき女庭師(聖母子と幼児聖ヨハネ)』の前年に、ほぼ同じ大きさと同じ構図で描かれた聖母子像がこの『ベルヴェデーレの聖母』です。こちらは絶大な権力を誇っていたハプスブルク家が所有していましたが、現在はウィーンにある美術史美術館にて展示されています。遠くまで見渡せる牧場を背景に、幼子たちを見つめる聖母マリアの温かな眼差しが印象的な本作は、赤い衣服と青の衣という典型的なマリア像をより清廉に見せています。また、ヨハネが持つ十字架を握るイエスは、その後の師弟関係を表しているとも考えられます。この聖ヨハネですが、それ以前は裸体の作品も見られますが、ルネサンス以降の絵画では、簡素な衣をまとうことが一般的になりました。
制作年
1506年
素材/技法
板に油彩
制作場所
フィレンツェ
所蔵美術館