キリストの遺骸の運搬

The Deposition

ラファエロ・サンティ

作品解説
『キリストの遺骸の運搬』はラファエロ初期の代表作です。当時、力のあったバリオーニ家の青年がペルージアで惨殺された追悼として、母親のアタランタ・バリオーニが依頼したものです。完成後は、サン・フランチャスコ・アル・プラート聖堂のバリオーニ家礼拝堂に展示されました。場面は、磔刑に処され死した主イエスの遺骸を岩墓へ埋葬する≪キリストの埋葬≫。母親が総意としたこともあるでしょうが、ラファエロは、惨殺された若者を死した主イエスに、悲しみのあまりに気を失う聖母マリアを母親のアタランタ・バリオーニに重ねています。生気が全く感じられないイエスの亡骸や身を震わせて嘆くマリアの動きにミケランジェロの影響が見られます。この絵は、教皇ユリウス2世がラファエロをローマへと呼び寄せる決定的な要因のひとつとなりました。
制作年
1507年
素材/技法
板に油彩
制作場所
フィレンツェ
所蔵美術館