若い婦人の肖像(ラ・フォルナリーナ)

La fornarina

ラファエロ・サンティ

作品解説
ラファエロは亡くなった後、ローマのパンティオンへ埋葬されました。その60年後に発見されたのが人妻を意味するターバンを頭に巻いたこの『若い婦人の肖像』です。通称ラ・フォルナリーナ。そう、《ヴェールを被る婦人の肖像》のモデルと同じパン屋の娘なのです。本名はマルゲリータ・ルティと伝えられています。ラファエロの愛が感じられますね。《ヴェールを被る婦人の肖像》とはさまざまな類似点がありますが、描かれた時期はラ・ヴェラータを描き終えてから約2年後。結婚話しのあったビビエーナ枢機卿から姪のマリアとは離れ、マリアの病死後も、その宮廷画家という立場や枢機卿への遠慮もあり、フォルナリーナとは結ばれることができませんでした。この絵は、ラファエロが密かに描き、最後まで手放さなかったため、遺品に埋もれ、発見が遅れたとされています。商業の対象にするつもりもなかったのでしょう。本作の右下部分には非販売を示す『E.I』のサインが画家の直筆によってなされています。
制作年
1518から1519年
素材/技法
板に油彩
制作場所
ローマ
所蔵美術館