大自慰者

The Great Masturbator

サルバドール・ダリ

作品解説
「大自慰者」は110cm×150cmと、大きな作品であり、この作品が描かれた1929年は、後にダリの妻となるガラと出会った年です。右上に描かれている横向きの女性像はガラの顔を表現していて、タイトルが示す通り、ダリがガラを想って自慰を表現している作品と言われています。ダリ自身は中央の岩に似た様で表現され、下を向いて目を閉じている横顔で描いています。この岩は、故郷カタルーニャのボルトリガト海岸にある自然岩からインスピレーションを得て、自画像と岩を同一視して描いています。横顔にたかるアリは、ダリにとって死や減退を表象するもので、少年時代に瀕死のコウモリにたかるアリにショックを受けて以来、死を表すものとしてアリはダリ作品に何度も登場しています。また、イナゴ恐怖症だったダリは、顔にとまったイナゴを描くことで、非常にパニックになっている状態、性に対する不安要素を表現しています。一方で、下部には二人の人物と、ダリにとって生を象徴する卵を描いており、この作品はダリの性に対する欲望と恐怖心を表した作品と言えます。
制作年
1929年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
不明
所蔵美術館
    国立ソフィア王妃芸術センター