超立方体的人体(磔刑)
Corpus Hypercubus (Crucifixion)
サルバドール・ダリ
作品解説
キリストが磔刑された様を木でできた十字架ではなく、8個の立方体、超立方体で構成することで、超次元的な神の姿を意味していると言われています。これは、エスコリアール宮の大建築を手がけたファン・デ・エレーラの立方体理論、「十字架は超立方体であり、キリストの身体は、8つの立方体のひとつと合体しながら、形而上学的には第9の立方体となる。9という数字はキリストの神聖な神学的象徴だからである」というものを、ダリ風にしたのがこの作品です。そして、このキリストはダリ自身を、キリストを見上げる聖母マリアは妻であるガラを表しています。この作品を描いた1950年代は、それまで取り組んでいたシュールレアリスムへの関心を失い、新たに「原子力芸術論」に対する関心を持ち始めていた時期で、二次世界大戦に起きた広島の原爆投下以来、原子力や科学、数学といったテーマに生涯興味を抱くようになります。この作品も原子力芸術論に基づいて制作されました。
制作年
1954年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
不明