記憶の固執の崩壊
The Disintegration of the Persistence of Memory
サルバドール・ダリ
作品解説
「記憶の固執の崩壊」として知られているこの作品には、「記憶の固執の調和した崩壊が始まっている高度に着色された魚の目の染色体」という正式名称があります。1931年に描かれた「記憶の固執」を書き直したのが、この「記憶の固執の崩壊」で25.4cm×33cmと、小さな作品です。記憶の固執と比較すると、描かれていた故郷スペインのカタルーニャ・カダケスは浸水状態にあり、この浸水によってタイトルにある崩壊を表現しています。また、平面のブロックもこの作品では、小さな形状に分割されて秩序正しく描かれており、原子核を表現しています。そして、このブロックの後ろには、角状のものが飛んでおり、原子ミサイルを象徴しています。平和の象徴であるオリーブの木も、このミサイルによって分断され、地球には秩序があるにも関わらず、人類が秩序を破壊する可能性があること、原子ミサイルが平和を脅かしていることを強調しているそうです。これらの表現はダリが原子物理学に傾倒していたことが分かる作品です。
制作年
1954年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
不明