レダ・アトミカ

Leda Atomica

サルバドール・ダリ

作品解説
ダリの妻ガラをモデルに、ギリシャ神話の白鳥とともに共に登場するスパルタの王女レダを描いた作品です。ダリは芸術にも正しい構成や計算を基礎に作り上げることが必要と考えていたため、本作で描かれているレダと白鳥においても、ルーマニアの数学者マティラ・ギカに勧められ、幾つかのスケッチとダリ自身の計算をもとに、5つの点、愛・規律・真理・意志・言葉が正確に配置できる五角形の枠組みに入るように描かれています。黄金比とも言われる神授比例法にのっとり規律の整った数学的な構成の元に描かれた作品です。また、ダリは化学の研究に没頭し、物質界は固定した重い物質で構成されておらず、互いに浮遊した関係の孤立した物質によって構成されていると考えていたため、この作品でも、あらゆるものが浮遊しているのが特徴的です。しかし、この作品に描かれた白鳥には唯一影が付いておらず、白鳥で表されたダリ自身だけは物質ではなく精神的存在とみなし、自身とガラの精神的な結びつきを表現しているようです。
制作年
1949年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
不明
所蔵美術館
    ダリ劇場美術館