天橋立図

雪舟

作品解説
この作品、実は作者を明示するような落款・印章の類はありません。全体の筆法や構図、図中に書き込まれた地名の文字の書体などから、雪舟の筆とみなされている作品です。図にはほぼ中央に天橋立の白砂青松と智恩寺が描かれ、阿蘇海を挟んでその奥には寺社の林立する府中の町並みが広がり、その背後には巨大な山塊と成相寺の伽藍が続きます。一方橋立の手前には宮津湾が広がり、それらを囲むように栗田半島の山並みがなだらかに横たわります。広々とした解放感を感じる構成です。この図は実際の景観に基づいて描かれていますが、実景そのままを写し取ったものではなく、配置や縮尺、高い位置から俯瞰したような構図に、画面構成上の変更が見られます。こうした実景との違いには、雪舟が中国画の学習で培った、西湖図など山水画の画面構成法が反映されていると指摘されています。寸法の違21枚の小紙を不規則に貼り合わせた紙に描かれていることや描き直しの跡が認められることなどから、完成画ではなく下絵であった可能性が高いと考えられます。筆さばきにも一気呵成に仕上げたような荒々しさがありますが、かえって図に独特の躍動感や力強さをもたらしています。
制作年
室町時代・16世紀
素材/技法
一幅 紙本墨画淡彩
制作場所
日本
所蔵美術館
ジャンル