慧可断臂図

雪舟

作品解説
中国禅宗の初祖・達磨とその弟子・慧可の入門シーンを描いた、禅画の代表作ともされる作品です。慧可ははじめ儒教や老荘思想を学んでいましたがその教えに得心せず、最後に達磨の門を叩きました。そのころ達磨は河南省の少林寺で坐禅を組んでおり、9年間壁に向かって坐禅したところからこれを「面壁九年」といいます。慧可は面壁中の達磨を何度も訪ねましたが達磨は振り向きもせず、慧可は自らの左腕を切り落として決意のほどを示し、やっと入門を許されたのでした。シンプルな表現ではありますが、リアルな面貌と鋭い眼差し、動きの少ない構図が、画面全体に息詰まるような緊張感を生み出しています。太い薄墨で一気に描かれた存在感ある輪郭線に、雪舟の筆法のテクニックが駆使されています。雪舟晩年の作とされますが、自らも禅僧であった雪舟がその生涯を経て辿り着いた境地が表れた作品と言えるでしょう。雪舟没後まもなく尾張国知多郡宮山城主・佐治為貞によって愛知・斎年寺に寄進され、現在は京都国立博物館に所蔵される国宝です。
制作年
1496年
素材/技法
紙本墨画淡彩
制作場所
日本
所蔵美術館
ジャンル