蔦細道図屏風
Narrow Ivy Road or Ivy Lane
俵屋宗達
作品解説
『蔦細道図屏風』は「伊勢物語」の第九段東下りのうち、宇津の山の蔦かずらの生い茂った細道を描いた作品です。蔦の細道(つたのほそみち)は現在の静岡県にある古道です。平安時代から1590年に豊臣秀吉が旧東海道を開くまでの約700年間にわたり、官道として利用されていました。「伊勢物語」では左遷された在原業平が京都から武蔵国に向かう途中、宇津山の峠に差し掛かり細い蔦の道の暗さに心細くなったのだと言います。絵には、業平も修行者も登場せず、蔦かずらの生い茂った細道が平坦に簡略化されて描かれています。写実性はなくともデザイン性に優れた作品で、また作品の上部には蔦の細道をイメージした歌が七首書かれています。京都の相国寺で見ることができる作品です。
制作年
17世紀
素材/技法
紙本着色
制作場所
日本