清少納言図
Lady Sei Shonagon Rolling up a Reed Blind
上村松園
作品解説
御簾を掲げる清少納言を描いた1892年の作品です。枕草子の第299段に「香炉峰の雪いかならむ」という中宮定子の問いかけがあります。「香炉峰の雪はいかがかしら」という問いかけです。それに対し清少納言は暖簾をあげようとしています。香炉峰は唐の詩人・白居易の詩に登場する山のことで、平安時代の日本人は白居易の詩を好みました。その歌の中に御簾をあげて眺めるという一節があるため、清少納言はこれを再現し中宮を喜ばせたというわけです。「香炉峰の雪」はまだ宮中での生活に慣れぬ清少納言のエピソードですが、この出来事でその場にいた女性たちに彼女の才能を認めさせました。『清少納言図』はその重要なシーンを優雅に描いた作品です。
制作年
1892年
素材/技法
不明
制作場所
京都