The Man

The Man

草間彌生

作品解説
男根状の突起を家具などにびっしり貼り付けたソフト・スカルプチュアの作品です。松本の保守的な旧家に生まれた草間彌生は、「セックスは汚いもの」と教えられて育ちました。成長した彼女は男根への恐怖感や性への嫌悪感を抱くようになります。やがて家を脱出しニューヨークで制作活動を開始した草間は、男根の形をしたたくさんのオブジェでびっしりと対象を埋める作品を作るようになりました。これは、性や男根への恐怖を制作によって克服しようとする営みで、彼女はその著書「無限の網」の中で、「恐怖の対象となるフォルムを、いつもいつも作りつづけることによって、恐怖の感情を抑えていく」と語っています。ソフト・スカルプチュアとは、布や糸のような繊維や、ゴム、脂肪などの柔らかく可塑性のある素材を使用して制作された彫刻や立体作品のこと。素材の柔らかさという特性以上に、そこから生まれる可変性や刹那性が、作品の特性を生み出しています。
制作年
1963年
素材/技法
ソフト・スカルプチュア
制作場所
アメリカ
所蔵美術館
ジャンル