アキュミレーションNo.1

Accumulation No.1

草間彌生

作品解説
「アキュミレーション」は草間彌生の創作のキーワードとなる言葉のひとつで、「集積」「積み上げる」といった意味を持ちます。この作品はタイトルが表す通り、布で作った白い男根状のオブジェの集積でソファを埋め尽くした、ソフト・スカルプチュア(柔らかい彫刻)の作品です。この作品は、「The Man」や「トラヴェリング・ライフ」が試みる表現と同じテーマを持つもの。松本の保守的な旧家に生まれ「セックスは汚いもの」と教えられて育った草間彌生は、自身の抱える性や男根への恐怖を克服するため、男根の形をしたオブジェでびっしりと対象を埋める作品を繰り返し作るようになります。恐怖の対象となるフォルムをユーモラスな形で表現し、滑稽なものに変えることで、恐怖を克服しようとしたのです。ニューヨークの批評家たちは、彼女のユーモラスで性的な変換表現に衝撃を受けることとなりました。そして、日本に残された抑圧的な家父長主義社会とニューヨークの芸術界に支配的であった男性優位主義を、退け無力化しようとする彼女の方法でもあったと、評されています。
制作年
1962年
素材/技法
ソフト・スカルプチュア
制作場所
アメリカ
所蔵美術館
    ニューヨーク近代美術館
ジャンル