朧月

Misty Moon

横山大観

作品解説
朧月(おぼろづき)は日本絵画の伝統的な手法である墨による線だけで物の形を描くのではなく、素材を活かしたぼかしによる色彩の広がりで物の形が描かれています。これは朦朧体と呼ばれる明治期の日本で試行された画風で、空気や光線を表すために敢えて輪郭線を用いずに描かれます。この作品には日本美術院の岡倉天心の指導のもと、大観が西洋画風の大気描写を日本画の新しい表現手法として試みた背景が見えてきます。見どころは、何と言っても画面全体の瑞々しさと空気感でしょう。朧月とは柔らかくほのかにかすんで見える春の夜の月のことですが、大観のこの作品では、その月下の情景が見事に表現されています。
制作年
1900年
素材/技法
絹本着色
制作場所
東京
所蔵美術館
    福岡市美術館
ジャンル