山口晃
Akira Yamaguchi1969年-
浮世絵を連想させる構図に、とてもこまかい描写で人物や建物を描き出すのが特徴的で、ユーモアが含まれている作品も多く、一種の風刺画と受け取れる作品も数多くあります。馬の頭をしたバイクに中世ヨーロッパの騎士や日本の武士がまたがっている構図は、山口が好んでたびたび用いているモチーフです。
また、山口晃は大規模なパブリックアートでも知られています。成田国際空港第1ターミナルのパブリックアート「飛行機百珍圖」では、飛行機の中にお座敷や浴場があるというおもしろい構図で、機内の様子やひとりひとりの人物がとても細かく描かれています。
そのほかにも、JR大分駅の「九州鐵道驛中驛外圖」と「島尽鐵道圖」や、大阪市交通局新庁舎の「大阪市電百珍圖」、東京メトロ13号線西早稲田駅の「地下鐡道乃圖」など、交通機関のパブリックアートを多数手がけているほか、静岡がんセンターの「階段遊楽圖」や、東京科学技術館の「氣呑漫談」なども制作しています。
山口は年に数回の個展やグループ展を日本を中心に海外でも開催しており、国外からも注目されている日本人現代美術家のひとりですが、緻密な描写で描く山口の作品数は決して多くはなく、平等院「養林庵書院」の襖絵の製作には3年を要しました。
山口はインタビューの際に「古いものが捨てられるのが嫌いで、古いものは大事にしなきゃという思いがあります」と語っており、彼の作品には古き良き時代を想わせる要素がちりばめられています。
1969年 東京都に生まれ、群馬県桐生市に育つ
1994年 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1996年 東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了
1997年 現代美術家の会田誠に誘われ「こたつ派」展に参加
2001年 第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞を受賞
2004年 水彩画、「百貨店圖 日本橋 新三越本店」を制作
2005年 成田国際空港のパブリックアート「南ウィング盛況の圖」と「飛行機百珍圖」を制作
2010年 第17回シドニービエンナーレに出品
2012年 国の重要文化財、平等院「養林庵書院」に14枚の襖絵「當卋早来迎、賽の河原、白道」を奉納
2013年 自著「ヘンな日本美術史」(祥伝社)にて第12回小林秀雄賞を受賞
2016年 山梨県立富士山世界遺産センターのシンボル絵画、「富士北麓参詣曼荼羅」を制作