茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)
Soft Construction with Boiled Beans(Premonition of Civil War)
サルバドール・ダリ
作品解説
迫りつつあるスペイン内戦の恐怖や不安を描いたこの作品は、スペインの内戦が始まる6か月前に書き始めており、ダリいわく内戦が起きることを予感していた、予言力があると主張しています。この作品で描かれている上下で2体あるような怪物は、2体が取っ組み合いをしているように描かれていますが、実は1体で、自己分裂や矛盾を起こし始めているという内面を表現しています。この怪物の手足や指先は、隠元豆のようです。これは、内戦状態にあり貧困に苦しむスペインが茹でた隠元豆のスープをよく食べていたことから描いたもので、題名にも茹でた隠元豆を取り入れています。この、今にも弾けだそうとする隠元豆と、今にも起こりそうなスペインの内乱をダブルイメージで表現しています。また、地面に描かれた沢山の茹でた豆を描いた理由としてダリは、「青白く哀愁を帯びた野菜の存在なしで、無意識の肉全体を飲みこむことを人は想像できない」と述べています。これまで、この作品はスペイン内戦が起こった1936年に描かれたと知られてきましたが、最近の研究では1934年に描いたという説も出ており、ダリの予感によって作品を描いたとの主張が現実味を増しています。
制作年
1936年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
不明