凱風快晴(富嶽三十六景)
Thirty-six Views of Mount Fuji: Fine Breezy Day
葛飾北斎
作品解説
「凱風快晴(がいふうかいせい)」は北斎が富士山を主題として描いた「富嶽三十六景」全46図中の1図で、凱風とは南から吹く快い風のことを言い、南風ともいいます。夏から秋にかけての晴れた早朝に、富士が山全体を赤く染めて輝いている姿を描いたもので、青い空の色との対比とシンプルな構成で富士山の壮大さを表現しています。この作品の大きな特徴のひとつが、富士の山肌に見られる版木の木目です、木目が画面の大きな面積を占めており、木版画では単調になりかねない大富士の絵に、空気の流れを感じさせる細やかな変化を表現しています。この絵は別名「赤富士」とも呼ばれており、「山下白雨」と「神奈川沖浪裏」とともに、冨嶽三十六景の三役のひとつに数えられている傑作です。
制作年
1830年 - 1832年
素材/技法
多色刷木版画
制作場所
不明(諸説あり)