こはだ子平二(百物語)
One Handred Ghost Stories: The Ghost of the Murdered Kohada Kiheiji
葛飾北斎
作品解説
「こはだ子平二」は北斎が「百物語」をテーマにして妖怪を描いた化物絵(ばけものえ)のひとつで、全5図のうちの1図です。こはだ子平二というのは、読本「復讐奇談安積沼(ふくしゅうきだんあさかのぬま)」に登場する役者で、幽霊の役で名をあげたのちに殺害され、自分を殺した者のもとへ幽霊になって舞い戻ったというあらすじですが、モデルとなる役者が実在したと言われています。北斎が描いた百物語は、どれもおどろおどろしいというよりはやや滑稽で、細かな描写にもかかわらず、クスッと笑わせてくれます。妖怪の姿は恐ろしいものの、その心情や行動は生きている人間と同じで、恐ろしいと同時に滑稽だと表現したかったのかもしれません。
制作年
1831年 - 1832年
素材/技法
多色刷木版画
制作場所
不明