萬福和合神
the gifted venus
葛飾北斎
作品解説
「萬福和合神(まんぷくわごうじん)」は北斎が絵と文章の両方を手がけた艶本で、上・中・下の三巻からなり、「おさね」と「おつび」というふたりの女性の性遍歴がコミカルに綴られています。表紙絵の男女は顔が性器の形をしており、男性の顔は女性器で女性の顔は男性器という表現が笑いを誘います。北斎は、人間の幸せと豊かさは男女の交わりにあり、それは愚かな者も賢い者も、貧しい者も裕福な者も、等しく同じなのだと断言しており、その言葉のとおり、この本では様々な地位や立場の人物が次々と登場しては男女の交わりにふけります。さらには、当時実際に使われていた性道具の図解もあり、風俗の歴史を知る上でも興味深い作品です。この艶本を制作したとき北斎は既に61歳で、この本を最後に北斎は春画や艶本から手を引いたとされています。
制作年
1821年
素材/技法
半紙本(多色刷木版画)
制作場所
不明