満月の紅葉にみみずく
Small Horned Owl on Maple Branch under Full Moon
歌川広重
作品解説
"「満月の紅葉にみみずく」は広重が初期のころに描いた花鳥図で、「月に木菟(つきにみみずく)」のタイトルでも知られています。|大きなかえでの木の枝先で、満月を背に1羽のふくろうが羽を休めている図で、体を丸めてくつろいでいる様子です。|紅葉が始まった季節らしく、まだ青々しい葉と紅く色づいた葉が入り混じっており、図の余白には「大木や はくれはくれは 若かれて」という句が書かかれています。|東海道五十三次にとりかかる前、広重は多くの美人画や花鳥図を描いていました。|広重といえば風景画というイメージがありますが、広重の風景画がリアリティにあふれているのは、画中に必ず人物や生き物が描かれており、自然のいとなみの中に日常を感じられるからです。|広重の描いた花鳥図は風景画に比べるとかなり数が少ないですが、広重の原点と言えるでしょう。"
制作年
1832年 - 1833年
素材/技法
多色刷木版画
制作場所
江戸