美人画

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女性の容姿や内面の美しさなど、いわゆる女性美をモチーフにした絵画を指す言葉。
このような人物画は世界中に見られますが、「美人画」という用語は日本独特の呼称です。
美人画の多くは江戸時代の浮世絵の流れを汲む日本画ですが、洋画でも同じ主題のものであれば美人画と呼ぶことがあります。
17世紀に江戸で生まれ、明治の中頃まで作られた浮世絵のジャンルのひとつには、人気のある花魁や町娘を描いた「美人絵」がありました。
江戸の人々は人気女優のポスターを買う感覚で美人絵を購入していましたが、時代が下るにつれて一般市民の美人を題材にした美人画も描かれるようになりました。
こうした浮世絵の「美人絵」の意識は受け継がれ、明治時代の文展・帝展のなかで日本画の一ジャンルとして成立するようになりました。
この時期の代表的な画家としては、鏑木清方と上松松園が挙げられ、「西の松園、東の清方」と称されました。
大正時代には竹久夢二が、浮世絵風の様式と大正ロマンを融合させた「夢二式美人」と呼ばれる美人像で一世を風靡しました。
明治後期から大正時代にかけては、企業の広告ポスターとして美人画が印刷され、世に広く出回るようになりました。
日本独特のジャンルともいえる美人画は、一見わかりやすく広く人気を集めやすいジャンルではありますが、美術という近代の制度やジェンダーの問題など、実は複雑な問題を包含しているものともいえるでしょう。
関連アーティスト
鏑木清方,上村松園,喜多川歌麿,菱川師宣,鳥居清長,渓斎英泉,歌川国貞,竹久夢二,伊東深水