草間彌生
Yayoi Kusama
1929年-
国籍
日本
アーティスト解説
草間彌生は日本の前衛芸術家。絵画や野外彫刻、立体作品、空間全体を作品とするインスタレーションなどの芸術作品に留まらず、ファッションデザインや小説執筆など、幅広い活動を展開しています。草間は幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされ、その克服のために絵を描くようになります。1957年、保守的な生家の抑圧から逃れて単身ニューヨークに渡り制作活動を開始。男根状のオブジェで埋め尽くされた立体作品や小さな網目でキャンバスを埋めていくネット・ペインティング、ハプニングと称される過激なパフォーマンスなどを展開し、1960年代には「前衛の女王」の異名を取るに至りました。1973年パートナーのジョゼフ・コーネルが死去すると、草間は体調を崩し帰国、入院することとなります。70年代から80年代には小説執筆などゆるやかな活動に留まります。草間の活動が再び活発になったのは、1990年代の初頭です。1993年のヴェネツィア・ビエンナーレ参加から世界的な再評価熱が高まり、各国で巡回展が開催されるようになりました。1994年から野外彫刻を手がけ、ベネッセ・アイランド直島文化村、霧島アートの森など様々な場所で特徴的な大型作品を制作しています。2000年代にはルイ・ヴィトンとの共同コレクションなど、商業分野でのコラボレーションも盛んになりました。草間作品の顕著な特徴は、網目や水玉など同一のモチーフで作品表面を覆い尽くすことです。「オブセッション=強迫観念」「オブリタレーション=消滅」は草間の重要なテーマで、水玉や網の目で空間や自分自身を覆い尽くし自己を消滅させるというモチーフは、草間作品に繰り返し現れます。その表現は、水玉のシールを真っ白な部屋に貼っていく参加型のインスタレーション「オブリタレーションルーム」などに発展していきました。消滅の先の自己解放、新しいクリエイション、草間の芸術はさらに先へと進んでいくのでしょう。
経歴
1929年 長野県松本市の種苗業を営む旧家に生まれる。
1952年 松本市公民館(旧:松本市公会堂)で2度の個展を開催。
1954年 東京で4度の個展を開催。
1957年 渡米。ニューヨークを拠点に活動を始め、「前衛の女王」の異名を取るに至る。
1966年 インスタレーション「ナルシスの庭」でヴェネツィア・ビエンナーレにゲリラ参加。
1973年 帰国、入院。
1978年 処女小説「マンハッタン自殺未遂常習犯」を発表。
1983年 小説「クリストファー男娼窟」で第10回野性時代新人賞を受賞。
1994年 この頃からベネッセ・アイランド直島文化村、霧島アートの森など、野外彫刻を手がける。
2000年 第50回芸術選奨文部大臣賞、外務大臣表彰を受賞。
2001年 朝日賞受賞。
2002年 紺綬褒章受章。
2003年 フランス芸術文化勲章オフィシェ受勲、長野県知事表彰(芸術文化功労)受賞。
2006年 ライフタイムアチーブメント賞(芸術部門)、第18回高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞。旭日小受章。
2008年 松本市名誉市民に推挙される。
2009年 文化功労者に選出される。
2012年 新宿区栄誉区民顕彰。ルイ・ヴィトンとのコラボレーション「LOUIS VUITTON × YAYOI KUSAMA Collection」を発表。
2017年 東京都新宿区に草間彌生美術館開設。