王太子バルタサール・カルロス騎馬像
Prince Baltasar Carlos on Horseback
ディエゴ・ベラスケス
作品解説
「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」はフェリペ4世の長男、バルタサール・カルロスが5歳のときに描かれた作品です。この絵はブエン・レティーロ宮の「諸王国の間」に、国王夫妻の騎馬像に挟まれて扉口の上に飾られていました。両脚を高く上げた馬の背でりりしく指揮棒をふるう姿からは、王太子が王位継承者として大切に育てられ、人々に愛されていた様子がうかがえます。この作品が描かれた当時は「風景画」というジャンルがまだあまり確率されていませんでしたが、山の稜線や雲の表現が傑出しています。ほぼ全体が色鮮やかな澄んだ空色で描かれている背景は、王太子の未来が輝いていることを予感させますが、王太子は王位を継ぐことなく16歳で早逝しました。
制作年
1634年 - 1635年
素材/技法
キャンバスに油彩
制作場所
マドリード