飛越の堺つりはし(諸国名橋奇覧)
The Splendid View of Famous Bridges in Various Provinces: The Suspension Bridge on the Border of Hida and Etchu Provinces
葛飾北斎
作品解説
「飛越の堺つりはし」は、北斎が全国の珍しい橋を描いた名所絵「諸国名橋奇覧」全11図中の1図です。飛騨(岐阜県北部)と越中(富山県)のくにざかいに架かる吊り橋を、夫婦と思われる男女ふたりが手や背に荷物を抱えて危なげに渡っています。橋に手すりはなく、踏み板も細い木の枝を束ねた粗末なもので、橋の下には霞がかかり下方の光景は見えません。現実のものとして想像すると何とも恐ろしく光景ですが、空には鳥の群れが飛び交い、行く手では2頭の鹿が草を食べており、画面から緊張感は感じられず、ふたりの男女も慣れた様子で橋を渡っています。北斎は危うい橋の光景を手掛かりに、人と自然の関りを描いたのかもしれません。
制作年
1833年 - 1834年
素材/技法
多色刷木版画
制作場所
不明