駿州江尻(富嶽三十六景)
Thirty-six Views of Mount Fuji: Ejiri in Suruga Province
葛飾北斎
作品解説
「駿州江尻(すんしゅうえじり)」は、北斎が富士山を主題として描いた「富嶽三十六景」全46図中の1図です。江尻は清水港に隣接した東海道の宿駅(しゅくえき)で、現在の静岡市清水区にあたります。山のふもと特有の強風に懐紙や木の葉が次々と吹き飛ばされ、木々は大きく傾き、人々は吹き飛ばされまいと腰を曲げて必死に笠や衣服を押さえています。人々のようすや周囲に茂る葦までもが細やかに描かれているのに反して、富士山は一筆書きで輪郭のみが描かれており、この見事な対比がおもしろく、独特の表現で富士山の雄大さを現しています。
制作年
1830年 - 1832年
素材/技法
多色刷木版画
制作場所
静岡市