ヒワの聖母
Madonna of the Goldfinch
ラファエロ・サンティ
作品解説
《美しき女庭師》、《ベルヴェデーレの聖母》に続き、ラファエロがフィレンツェ時代にシリーズもののように描いた牧歌的な聖母子の3枚目の絵が、この《ひわの聖母》です。フィレンツェの大聖人の結婚祝いとして依頼されたもので、現在はウフィツィ美術館に収蔵されています。他の2枚と同じように、遠くまで見渡せる日中の野原の中に、聖母とイエス、そして洗礼者聖ヨハネが描かれています。マリアの膝の間に立っているのがキリスト、そして茶色の衣をまとって、手に持った鳥をイエスに差し出そうとしているのが聖ヨハネです。この3角形の構図は、《美しき女庭師》、《ベルヴェデーレの聖母》にも共通したものですよね。そしてまた、他の2枚と同じように、キリストの受難を思わせる描写が含まれています。この絵の場合は、イエスと聖ヨハネが手にしているひわ。ひわは、イエスがゴルゴダの丘へ十字架を背負っていく途中に、頭上に舞い降りて、ひたいにはめられたい茨の冠をついばもうとします。その際、イエスの血が飛び散り、それ以来、ひわの羽には赤い斑点が付いている、といわれています。
制作年
1506年
素材/技法
板に油彩
制作場所
フィレンツェ