秋冬山水図(冬景図)
雪舟
作品解説
かつて京都の曼殊院が所蔵していた秋冬山水図が「秋景山水図」「冬景山水図」の二幅。もともとは四季山水図四幅対であったと考えられています。現在は東京国立博物館の所蔵、重要文化財。安定感のある構図と力強い筆致は、中国南宋の様式や明代の浙派の流れを汲みつつ、雪舟独特の作風として完成しています。こちらの「冬景」、中央にそびえるのは雪に覆われた断崖。オーバーハングする断崖の力強い輪郭線、冬枯れの樹木が厳しい寒さを感じさせ、画面のこちら側の観る者に対し、存在感と圧迫感をもって迫ります。画面手前右側から舟から降りた人物が楼閣に向かって歩みを進める姿は、厳しい冬の自然を強調するかのようです。左下隅から反時計回りに岩や山を螺旋状に配置する構図は人為的な構築性を強く感じさせ、強い筆墨の調子と相まって、画面の奥行きを意図的に排除した構成となっています。
制作年
室町時代・15世紀末~16世紀初
素材/技法
二幅 紙本墨画
制作場所
日本