荷宝蔵壁のむだ書
Storehouse of Treasured Goods: Scribblings on the Wall
歌川国芳
作品解説
"「荷宝蔵壁のむだ書(にたからぐら かべのむだがき)」は5枚シリーズの作品で、歌舞伎役者らしき人物が1枚の絵の中に何人も描かれています。|この絵が描かれたのは水野忠邦が「天保の改革」を行っていた時期で、華美なぜいたくは禁じられ、浮世絵でも役者絵や美人画を描くことが禁止されていました。|それでも、国芳をはじめとした多くの絵師たちはさまざまな工夫をこらして役者絵を描き続けており、この絵はそのうちのひとつで、まるで子供の落書きのように白壁にくぎでひっかいたようなタッチで役者の似顔絵が描かれています。|タイトルの「荷宝」は「似たから」に引っかけたもので、実は役者の似顔絵だと町人たちに分かるようにした「しゃれ」、絵の中には文字や動植物も描かれており、町人たちは絵の謎解きを楽しみました。"
制作年
1844年 - 1847年
素材/技法
多色刷木版画
制作場所
江戸向島(花街)、現在の墨田区