パブリックアート
public art
パブリックアートとは、美術館やギャラリー以外の広場や道路や公園など公共的な空間に展開される芸術作品を指します。1930年代のスウェーデンにおける「ナショナル・パブリックアート・カウンシル」の設立、アメリカ合衆国のニューディール芸術政策における「公共空間のための芸術作品」という着想から始まり、60年代以降「公共性」や「公開性」について議論されながら発展してきた概念です。日本では、地域再開発を目的として公共空間に彫刻作品を設置するという意味合いが強めですが、英語圏などでは、観衆と作品、環境の関わり合いを包括する多元的な議論が重ねられてきました。近年では、周囲の環境や景観と調和しつつ、公共の空間をアーティストによる作品を展示するひとつの美術館やギャラリーとして捉える傾向が強まっています。日本にパブリックアートという概念がもたらされたのは1970年代のこと。「釧路幣前橋での道東の四季<春><夏><秋><冬>」「札幌芸術の森 野外彫刻公園」「仙台市彫刻のあるまちづくり」といったプロジェクトから徐々に、公共空間に彫刻作品を設置することが全国の自治体に拡まっていきました。90年代半ばには、ファーレ立川および新宿アイランドにJ・コスース、R・ラウシェンバーグ、R・リキテンスタインら国際的アーティストの彫刻が購入・設置され、パブリックアートという概念が広く知られるようになります。現在では「瀬戸内国際芸術祭」や「越後妻有アートトリエンナーレ」など日本全国で、地域の自然の中でアートを楽しむ試みが展開されるようになっています。