パブリックアート加藤泉彫刻現代アート
ART

加藤泉の大型野外彫刻がお目見え、フランスのル・アーヴルで恒久展示

絵画・彫刻制作を通して、根源的な芸術のあり方を追求するアーティスト・加藤泉。

今年の夏、ユネスコ世界遺産に登録されているフランス北西部のル・アーヴル市にて、全長7メートルもの大型野外彫刻を発表しました。

加藤泉にとって、これまでで最も大きい作品となった今回の彫刻作品は、ル・アーヴル市に恒久展示されます。

作品の制作経緯と見どころを詳しくご紹介します。

 

あなたの部屋に合うアートは?
「アート診断」

Q1.希望の価格帯は?

Q2.気になるジャンル・モチーフは?

国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
23件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
30件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
34件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
55件見つかりました!
診断をやり直す

加藤泉

精霊や胎児を連想させる生命体を主なモチーフとして油絵・木彫を制作する作家、加藤泉。

1969年、島根県に生まれ、1992年に武蔵野大学油絵学科を卒業。

ヴェネチア・ビエンナーレ(2007年)の参加をきっかけに、現代アーティストとして国内外で高く評価されています。

近年の主な個展としては、「クリテリオム46 加藤泉」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2001年)、Red Brick Art Museum(北京、2018年)、Fundación Casa Wabi(メキシコ、2019年)、原美術館/ハラ ミュージアム アーク(東京/群馬、2019年)、SCAD Museum of Art(米国、2021年)など。また、2014年よりペロタン・ギャラリー(ニューヨーク、パリ、上海、香港、ソウル)にて個展を開催。

 

アール・ブリュットの影響を受けている加藤泉。

彼の生み出す生命体は、魅力的であると同時に謎めいた存在です。

原始美術を連想させる生命体は特定の宗教や民族、精霊を象徴するものではなく、彼は直感的に素材を選びながら自由に制作しています。

近年は絵の具だけでなく、木、石、プラスチック、そして布も使用しています。

アール・ブリュット

正規の美術教育を受けていない人が、湧き上がる衝動に従って生み出すアートのことで、アウトサイダー・アートとも呼ばれる。アール・ブリュットの芸術家には、精神的・知的障害を持つ人や刑務所の受刑者なども含まれる。絵画や造形作品、民族芸術など、多岐にわたる分野の作品がある。

 

 

フランス、ル・アーヴルの公共事業「A Summer in Le Havre」

フランスの北西部に位置する港町、ル・アーヴル。

ル・アーヴル市は元々、水運や造船業が発達し、交易の盛んな土地でした。

1872年、クロード・モネが32歳の時に、朝焼けのル・アーヴル港をモチーフに「印象、日の出」を制作したことから、モネのゆかりの地としても知られています。

 

第二次世界大戦ではノルマンディー上陸作戦で街が破壊され、8万人の市民が住居を失いましたが、戦後にはフランス人建築家のオーギュスト・ペレにより大規模な都市再建が行われ、生まれ変わった中心部の街並みは、ユネスコ世界遺産に登録。

 

ブラジル人建築家オスカー・ニーマイヤーによる図書館、美術館、国際劇場が合わさった文化センターも開館し、真っ白な火山の形をした斬新な建築物は、街のランドマークとなっています。

 

ル・アーヴル市では、2017年に市の誕生500周年を記念し「A Summer in Le Havre」というイベントが開催されました。

現代アーティストに野外作品を依頼し、それを街中に展示するこのイベントは、地元住民や観光客から広く支持され、初年度には200万人もの動員を記録。

 

その後も、公的機関などの支援を得て毎年夏に開催されるイベントとして定着し、前年度までに世界中から20名以上のアーティストを招聘しています。

日本人アーティストとしては、2017年に塩田千春も参加しています。

 

加藤泉史上最大の大型彫刻

そして2022年、ル・アーヴル市のサン・ヴァンサン・ド・ポール広場には、加藤泉の作品が登場しました。

ドイツの鋳造会社で制作した高さ7メートルに及ぶ野外彫刻作品です。

 

加藤泉の巨大な彫刻作品は、この街で異質な存在感を放ちながらも、街の木々の間に溶け込んでいます。

胎児の形をしたキャラクターの股の部分には羽を広げたスズメバチが施され、性別も分かりません。

加藤泉は今回の作品について、「魂があるかないかは見る人次第 」とコメント。

その答えは、鑑賞者の想像に委ねられています。

 

世界で注目を集める日本人アーティストの1人、加藤泉。

2022年は、「ハワイ・トリエンナーレ2022」(ホノルル、米国)、「Assembly 1: Unstored」(Assembly、ニューヨーク州、米国)、秋にはスティーブン・フリードマン・ギャラリー(ロンドン)にて個展を予定をしています。

 

Un Été au Havre / A Summer in Le Havre

会期:
2022年6月25日~9月18日 ※会期後一部の作品は恒久展示

会場:
ル・アーヴル市街

住所:
MAISON DE L’ÉTÉ(公式案内所)125 Rue Victor Hugo, Place Perret, 76600 Le Havre

料金:
無料

 

 

関連記事

有名な浮世絵師11人とその代表作を解説

浮世絵といえば、世界的な画家であるゴッホも心酔し、自らの作品にも取り入れた絵画。みなさんはそんな浮世絵についてどのくらい知っていますか? 江戸の時代に、多くの庶民の娯楽として親しまれた「浮世絵」。浮世絵師が人気の人物や話題の場所な

「アートウィーク東京2023」11/2〜開催、保坂健二郎がキュレーションする「AWT FOCUS」など新企画も

2021年から東京を舞台に開催されているアートイベント「アートウィーク東京(AWT)」が、2023年度の参加者ラインナップ、プログラムを発表しました。 今年は都内の11の施設と39のギャラリーが参加を予定しており、東京のアートシー

ポンピドゥー・センターが韓国 ソウルに進出、2025年に新美術館開館予定

2023年3月、ポンピドゥー・センター(パリ市・マレ地区)が、韓国のハンファ文化財団とパートナーシップを締結し、ソウルでの近現代美術館建設に向けた協働を発表しました。 ポンピドゥー・センターにとっては、メッツ(フランス)、ブリュッセル

猫イラスト作家 おちょぴさんにインタビュー

  こんにちは。thisismedia編集部の武田です。 thisisgallry の人気作家さんを応援する企画としてはじまりました!「アーティストインタビュー」     第1回目は、thisis

一度は見たい!世界の有名絵画20選

  あなたは「名画」と聞いて、どんな作品が思い浮かびますか? ダヴィンチの「モナリザ」、ピカソの「ゲルニカ」、モネの「睡蓮」など、世界には数多くの有名絵画が存在します。 しかし「なぜこれが名画なのか?」と疑問に思っている

TOP