今井喬裕展 -状況の構図-

会期終了

Information

 
会期2022年6月2日〜2022年7月24日
会場 HOKUBU記念絵画館 
入場料 一般(小学生含む):​700円

小学生未満:0円

障害者手帳をお持ちの方​(介護者1名も同料金)500円
開館時間 10:00 - 17:00 *時間別予約制のため要予約
休館日 月火水
住所 〒062-0911北海道札幌市豊平区旭町1-1-36
地図 Google MAPで見る
公式HP https://www.hokubu-kinen.or.jp/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%81%AA%E6%96%B9%E3%81%8C%E6%A0%BC%E5%A5%BD%E3%81%84%E3%81%84-3-24

展示内容・解説

人間を描くということは人間の当然の興味に根差しています。それは個々のものを描きながら、普遍的なものにつらなっていて、過去からの経験の蓄積が人間という興味深い存在に対する認識をあらわしています。率直に考えてみて、そこに表現された人間以上に、心を動かし、心にしみる思いをさせる、つまり感情移入できるものがあるでしょうか。造形美術はすべて自分と何らかの関係に立つときはじめて興味が発動するものです。もし、それを感じないならその作品は失敗と言えます。 今井喬裕が学生時代に人物画を「楽しい」と思ったのは不思議ではありません。二十年近く心魂をそそいできたのも分かります。人間を素材として、表情やポーズ、そして特徴のあるクラッシッシクな衣装が結びついた今井の人物画は新しい関心をも促進します。それは一つの欲求です。そして私たちもまた今井の作品に接して、胸がさわぐような強い興味を感じるのは当然の欲求といえます。顔の造作、立っているポーズだけでも、美の欲求にこたえるものだからです。造形美術を扱う作家が人間に関心を示すのは必然的な欲求です。たとえば彫刻でも人体以上のモチーフはなく、それは色彩を扱う絵画や、他の芸術でも同じかもしれません。 もちろん興味の強弱のみが作品の価値を決定するものではありません。その根本にはしっかりとそこに実在するという表現性がなくてはいけません。そこには技術の問題が入ってきます。人間に備わった形をぴったりと与えられた絵画はそれだけで、人間の存在をいっそう強く実感させます。優れた芸術にいかに技術が必要かはいうまでもありません。今井喬裕は専門家として、素人とは区別される技術を持っています。それは訓練によって成り立つものですが、その訓練はその仕事の理解が、つまり古いものを知っている前提がなくてはなりません。細密描写は絵画の新しい領域であり、その現状に対する十分な自覚が、技術の追求だけではない絵画の中身をつくろうとさせたのです。もちろん中身といっても、今井の作品は明快で、訳の分からぬものを高級とするような時代の影響はありません。
「雛衣」25M
万人の理解できない絵画が画壇を席巻した時代はありましたが、今井の作品はそういう先入観の構えなしに、直接心にうったえる形で提出されるものです。ただ人間の興味には、はっきりとした境界がなく、美的なもの、感情的なもの、そのどちらに属するのか分からないことが多く、特に主観にかかわる部分には少しゆがんだところもあります。今井にはメランコリーに対する興味があります。今井は明快さの中に、単純ではない表情やポーズを反映することで、実際的な趣味で世に受け入れられるのではない、芸術の挑戦をしているようです。もちろんそれは感覚的に味わうだけでも心を動かす作品ですが、笑顔が少なく物語性が深い、静寂な精神性が感じられる作品なのです。 
(公式HPより)

アーティスト

  • 今井喬裕

近隣イベント

TOP