Positionalities 金光男 東恩納裕一 山田周平

会期終了

Information

 
会期2022年7月30日〜2022年8月28日
会場 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
入場料 無料
開館時間 11:00–19:00
休館日 月曜日
住所 〒604-0052 京都府京都市中京区押油小路町238-1
アクセス 地下鉄:「二条城前」駅(2番出口)南東へ徒歩約3分
バス:「堀川御池」バス停下車すぐ
公式HP https://gallery.kcua.ac.jp/archives/2022/8719/

展示内容・解説

「Positionalities」の言葉を冠した本展は、3人の現代アーティスト(山田周平、金光男、東恩納裕一)の作品を並置することを通じて、作家が多様な社会・政治的問題にアプローチするときの立ち位置の重層性を浮かび上がらせる。これまでアーティストが社会・政治的問題に接近を試みるときの、その立ち位置の差異はあまり問われてこなかったように思われる。

「ソーシャリー・エンゲージド・アート」や「アート・アクティビズム」などの用語の流行が示唆するように、今日ではアーティストが作品制作を通して様々な社会・政治的イシューに切り込むことは一般的となった。ソーシャリー・エンゲージド・アートやアート・アクティビズムの観点から眺めると、美術史的文脈とも接続させながら、芸術を通して社会と個人の関係性を問い続けてきた山田、金、東恩納の実践はいずれもユニークかつ重要なものと言える。加えて、ときにエモーショナルにときに挑発的に鑑賞者を刺激する彼らの作品は、アナリティカルで客観的視座を備えた作品の多い日本におけるソーシャリー・エンゲージド・アートやアート・アクティビズムの領域で異彩を放つ。

山田周平は現代社会に対する深い問題意識と関心をもちながらも、作品における彼の立ち位置は一貫してニヒリスティックで冷笑的である。在日コリアン3世の金光男にとって、作品のテーマともつながるアイデンティティの問題は、つねに自らの実存にまとわりつき容易に距離をとって眺められるものではない。東恩納の代表作である、蛍光灯を主要モチーフとする「シャンデリア」シリーズは、日本社会に浸透するメンタリティを批評的に浮かび上がらせるが、作品のなかで彼自身の存在感は極限まで減じられている。

山田、金、東恩納はいずれも「社会-個人-歴史」の連累のなかで過激で挑発的な芸術実践を行い、それらは言語化しにくい感情や情動、あるいはその徹底した欠如に基礎付けられている点で共通する。だが、興味深いことに、彼らの作品における彼ら自身の立ち位置は大きく異なる。

複数形の「Positionalities」をタイトルに掲げる本展では、社会・政治的批評性をはらむ現代アート作品のなかにアーティストたちの異なる立ち位置(ポジショナリティ)を前景化したい。それゆえ、この展覧会は「ソーシャリー・エンゲージド・アート」や「アート・アクティビズム」をめぐる学際的議論に対しても、新たな角度から一石を投じるものとなる。



山本浩貴(本展キュレーター)
(公式HPより)

アーティスト

  • 金光男
  • 東恩納裕一
  • 山田周平

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