ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of life」

会期終了

Information

 
会期2023年2月2日〜2023年6月11日
会場 エスパス ルイ・ヴィトン東京
入場料 無料
開館時間 11:00〜19:00
休館日 会期中無休
電話番号 0120-00-1854
住所 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル 7F
アクセス 東京メトロ 銀座線 / 半蔵門線 / 千代田線 表参道駅 A1出口より徒歩約3分
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公式HP https://www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/detail

展示内容・解説

ヴォルフガング・ティルマンスは、レイヴやゲイコミュニティのパーティーで身体の脆弱性や、くだけたポーズをとる友人たちの姿、長年にわたって私生活を撮り続けた個人の姿などを捉えます。作品は大判のインクジェットプリントで、多くの場合は額装されずに展示されています。ティルマンスは、写真をリアルな世界と直接結び付いた社会的芸術とみなし、対象を共感と共に描き出します。時代に注意を向けることによって、彼の作品は本質的な真理に到達しています。そして、肖像画、静物画、風景画といった伝統的なジャンルに立ち戻ります。また、ティルマンスは写真技術を絶えず追求し続けてきました。例えば、コピー機を使ったイメージの拡大や新たにフレーミングを行ったり、カメラの代わりに暗室で光源のみを使用して抽象的な写真を制作したりしています。

1992年以降、展覧会の構成も自ら手掛けてきました。作品をグループごとにまとめて壁に吊るしたり、貼り付けたり、あるいはその場で決めた順番にテーブル上に配置したり、展示空間を、イメージの集合体が人間のコミュニティを反映する一種のラボとして捉えます。
ティルマンスは、常にポートレートを撮り続けてきました。被写体が親しい友人であれ、見知らぬ他人、あるいは著名人であれ、人為的な演出を避け、意図的に自発性に基づいた制作スタイルをとってきました。作家が被写体の動きやファッションスタイル、態度を自然で流れるようなフレーミングで捉え、1人1人の個性を露わにすることによって、これらの作品に稀な心理的強さが宿されます。
背後から撮影されたポートレート《Haircut》(2007年)は、被写体が特定できないがゆえに、一層の親近感をもたらされる作品です。
《Torso》(2013年)は、タイトルが示すようにトルソを主題とし、古代彫刻にちなんでいます。人体のタイトなフレーミングによって、ミケランジェロの讃えた古代彫像「ベルヴェデーレのトルソ」が意識されています。「ベルヴェデーレのトルソ」は、15世紀以降その比類のない芸術的価値と断片として残されたその姿が数々の芸術家や人々を魅了してきました。
1986年以降、ティルマンスの作品にはセルフポートレートが時折登場するようになります。《London Olympics》(2012年)は、一見すると何気ない瞬間を捉えたように見えるものの、実際には非常に複雑なコンポジションです。
このセルフポートレートには、作家自身が2ヶ所に写り込んでいます。前景に彼の脚が見え、後景ではベッドに横たわって鏡にカメラを構えています。この鏡面には、フレーム外の光景が映し出されています。作品の圧倒的なサイズによって、見る者はその風景に没入するかのように感じることでしょう。 別のグループのワンシーンを切り取った《Summer party》(2013年)では、エドゥアール・マネの名作《草上の昼食》を彷彿させます。
ティルマンスの作品においては、静物画も重要な位置を占めています。《Still Life, Bourne Estate》(2000年)は、必然的に17世紀のオランダ絵画を想わせる作品です。写し取られた食器、家庭的な佇まい、そして写真のフォーマットが相まって、オランダ絵画黄金時代の典型的なコンポジションを再現したかのように見えます。本作品と対を成す《Still Life, Bourne Estate II》(2002年)は、写し出されたWi-Fiボックスと電気ヒーターから現代的な雰囲気が感じられる一方で、岩石や貝殻の存在によって、古典作品の空気も漂っています。観葉植物を被写体とした静物写真《Zimmerlinde (Michel)》(2006年)は、1つのディテールから抽象的にも見えるコンポジションを成しています。作品の一際大きなサイズによって、この側面が一層強調されています。
ティルマンスの花を被写体とした写真の大半は、自身のスタジオで撮影され、写真と官能的な感覚の確かな結び付きを表現しています。《Hanging Tulip》(2020年)ならびに《Flatsedge》(2019年)では、画面全体を通じて、身の回りの些細なものを見つめるティルマンスの視点が非常によく映し出されています。一方で、《Ushuaia Lupine (a)》(2010年)は、「世界の果て」とも称されるウシュアイアのティエラ・デル・フエゴで撮影された作品です。
自然は、ティルマンスの作品に頻出するテーマであり、人間と都市との関係性を通じても表現されています。例えば、《Adalbert Garden, Winter》(2009年)や《Shoe (grounded)》(2014年)がこのような作品群に属します。
パーティーの名残を捉えた《End of winter (a)》(2005年)では大判印刷作品が中央に置かれており、作家自身のスタジオで撮影された作品群の一部です。ティルマンスにとって、制作アトリエは生きることとアートが交差する展示空間でもあるのです。
《Himmelblau》(2007年)は空の青色を押し出した、より抽象的で単色の構成で、中庭建築が写し撮られています。完璧な垂直のショットが建物の垂直構造を凌駕し、廊下を撮影した写真のように仕上がっています。

このたび、フォンダシオン ルイ・ヴィトン主催の「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として、エスパス ルイ・ヴィトン東京において、コレクションを象徴する作品を通じてヴォルフガング・ティルマンスの世界を日本の皆様にご紹介いたします。
(公式HPより)

アーティスト

  • ヴォルフガング・ティルマンス

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