ビエンナーレ台湾芸術祭
ART

「アジアン・アート・ビエンナーレ 2021」が台湾で開催中!毛利悠子、磯村暖×海野林太郎、宇多村英恵らが参加

「アジアン・アート・ビエンナーレ」が台中(台湾)の国立台湾美術館(NTMOFA)で開催されています(〜2022年3月6日まで)。

 

第8回目となるビエンナーレのタイトルは「Phantasmapolis(ファンタズマポリス)」。

15カ国から集まった38人のアーティスト達が、パンデミックの時代における未来の様々な可能性を探り、鑑賞者に熟考を促すようなビエンナーレにすることが本展の目的となっています。

 

世界的なパンデミックにもかかわらず展示縮小はせず、アジアの現代アートのプラットフォームとして、そしてアーティストのサポーターとして挑戦を続けるアジアン・アート・ビエンナーレの見どころを詳しくご紹介します。

 

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アジアの未来を熟考するテーマ「Phantasmapolis」

ビエンナーレのテーマである「Phantasmapolis」は台湾の建築家、王大閎(ワン・ダホン)によるSF小説『Phantasmagoria(ファンタスマゴリア)』(北京語で「幻城」)から採用されました。

ギリシャ語で「幻影」を意味する「phantasma(ファンタズマ)」と「都市」を意味する「polis(ポリス)」を組み合わせた造語です。

 

この幻想的な都市の中で、キュレーターとアーティストはアジアのルーツを見つめなおし、「アジアの未来派」「アジアのSF文化」を探求します。

アジアの近現代美術においてSF的なトピックや素材がどのように表現されてきたか、という歴史的な背景を元に、未来の可能性について提示するというのが本展のコンセプトです。

 

国際的なキュレーションチーム

アジアの主要都市は、世界と未来をつなぐ架け橋であり、それ自体が近未来の世界の縮図。

展示作品を通して、アジアの近代性はユートピアとディストピアが重なり合う場所であると言えます。

過去と未来、外国とテクノロジー、幻想と現実、謙虚さと栄光。それらが密接に結びついて、このビエンナーレ全体を作り上げます。

 

こう語るのはビエンナーレのチーフキュレーター、ノブオ・タカモリ氏。彼は台湾を拠点にするインディペンデントキュレーターです。

キュレーションチームは国籍やバックグラウンドの異なる5人の共同キュレーターで構成され、タカモリ氏の他にも

 

ホー・ユークアン(台湾)
テッサ・マリア・グアゾン(フィリピン)
アヌシュカ・ラジェンドラン(インド)
タナヴィ・チョットプラディット(タイ)

 

という国際的な顔ぶれになっています。

グローバルな移動が制限されている現在、国境を越えたキュレーションの可能性を提起することを目的としています。

 

各キュレーターは自分の専門分野に基づいたアーティストを招聘し、展覧会の各セッションをリードする使命が与えられています。

ノブオ・タカモリ氏とホー・ユークアン氏は本展において、「アジアの未来派」や「アジアのSF文化」についての議論を促し、ジェンダーをはじめとする境界線、身体や家族構成の制限に関する問題提起を含んだ作品をキュレーションしています。

 

日本の参加アーティスト

日本からは、毛利悠子、磯村暖×海野林太郎、宇多村英恵がアーティストとして参加しています。

その他にも、映画監督・荻野茂二の短編アニメーション『百年後の或る日』(1933)の上映や、写真家・平田実グラフィック・デザイナー・木村恒久の写真作品も展示されています。

 

毛利悠子

十和田市現代美術館やヨコハマトリエンナーレ、サンパウロビエンナーレなど国内外の展覧会に参加する毛利悠子は、日用品やおもちゃ、楽器、機械の部品など様々なものを組み合わせ、磁力や重力、空気の動きといった目に見えない力を感じさせるインスタレーションを主に制作しており、今回はピアノのインスタレーションを展示します。

 

磯村暖×海野林太郎

若手現代アーティストの磯村暖は、東京藝術大学に満点で入学した「現代アート界の鬼才」と言われています。

LGBTQや難民問題など社会問題を題材にした作品をインスタレーションや絵画で発表し、移民の土着文化、宗教美術、物理学、SNS上の美学などを参照しながら、独自の視点で社会問題に向き合うアーティストです。

2020年の10月には韓国、ベトナムやインドなど、アジアの様々な国の文化が交差し人口の3割が外国人である東京・新大久保に、多様性を象徴するようなアートスペース兼コミュニティセンター「UGO」(ウゴウ)をオープンさせました。

 

磯村暖と同じく1992年生まれの海野林太郎(東京藝術大学大学院 先端芸術表現専攻修了)は、新興宗教やテレビゲームなど自身のリアリティや感性に深く影響しているものをモチーフに映像やインスタレーションを制作しています。

 

宇多村英恵

宇多村英恵(ロンドン芸術大学チェルシーカレッジ大学院ファインアート学科修了)は、ドイツ、ニューヨーク、韓国など海外で主に作品を発表し、自然環境と対峙するパフォーマンスや鑑賞者が役者として作品に組み込まれてしまうような独自のインスタレーションを制作しています。

 

アジアのアートシーンの発展を願って

国立台湾美術館のディレクターである梁勇飛氏(リャン・ヨンフェイ)は、今回のビエンナーレへの想いと期待を語りました。

 

世界的なパンデミックが私たちの生活や世界との関わり方に大きな影響を与えている中、2021年のアジアン・アート・ビエンナーレの開催はビエンナーレの歴史だけでなく、アジアのアートシーンの発展にとっても重要な節目となるでしょう。

 

私たちはこの地域の現代アートの創作を支援し、育成するユニークなプラットフォームとしての役割を果たし続けることを願っています。

 

そして何よりも、鑑賞者がアートの力で考え、交流し、体験できるような空間を作り出せることを願っています。

 

このビエンナーレは、鑑賞者にユニークな視覚体験を提供するだけでなく、アジアのアーティストが互いに交流し、鑑賞者と共に新たな議論を展開するプラットフォームになることが期待されています。

アーティストたちが提示するSF近未来の世界を体験し、アジアの未来を感じてみてはいかがでしょうか。

 

Phantasmapolis: 2021 Asian Art Biennial
会期:2021年10月30日〜2022年3月6日
会場:国立台湾美術館
住所:No. 2, Section 1, Wuquan W Rd, West District, Taichung City
開館時間:9:00〜17:00
休館日:月曜日
料金:無料 
https://www.asianartbiennial.org/2021en/

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