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フロイトとは?「無意識」の発見・夢判断などフロイトの精神分析について分かりやすく解説

フロイトは、日本においてもよく知られている心理学者です。

人の心における無意識の発見や、夢を分析した手法などで有名ですが、その理論や手法を詳しく知らない人もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、彼の歩んだ生涯と創始した精神分析学の概要、残した名言などについて、解説を行っていきたいと思います。

 

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フロイトとは?

精神分析学の創始者

ジークムント・フロイトはオーストリアの精神科医で、精神分析学の創始者として有名です。

精神分析学とは、人間心理の理論と治療技術の体系を指しています。

フロイトは主に19世紀末から20世紀前半にかけて活躍し、無意識の発見やリビドー論、心理性的発達理論などを唱えたことで知られ、現在の精神分析学や心理学の基礎を築きました。

また、彼の理論は心理学以外の人文学などをはじめとした近接学問にも発展し、20世紀の思想に大きな影響を与えたことでもよく知られています。

 

神経症や心的外傷(PTSD)の研究に没頭

フロイトの残した大きな功績のうちの一つに、神経症と心的外傷の研究が挙げられます。

精神科医であったフロイトは、心因性の疾患を持っている患者の治療にあたるうちに、無意識下に存在する過去の記憶や感情が原因となり、神経症をはじめとした精神疾患が起きるケースがあることを発見しました。

この発見は、後の心的外傷後ストレス障害(Post Tramatic Stress Disorder、略してPTSD)の概念にも通じるものがあります。

フロイトはこのような事例について長年の研究を続け、精神分析を駆使した心理療法を確立しました。

その療法は、フロイトの死後も弟子たちによって実践と研究が続けられ、現在では精神分析的心理療法として発展しています。

 

「無意識」の発見

ptsd

フロイトの残したもう一つの大きな功績は、人間の無意識を初めて発見したことです。

フロイトは人間には、自我を認識している「意識」と、普段はその存在を把握できない「無意識」が存在していることを唱えました。

そして、無意識が意識に比べて記憶を豊富に蓄積していると考え、無意識の働きを重要視し、無意識下で抑圧された感情が原因となり精神疾患を引き起こすことを唱え、その理論を体系化しました。

この無意識概念は、心理学の分野のみならず、20世紀の人文学や思想へも多大な影響を及ぼしました。

 

フロイトの生涯

ウィーン大学に入学 自然科学を研究

フロイトは1873年に、ウィーン大学へ入学し物理や生理学などの自然科学について学びました。

また、在学中にフロイトは脳性麻痺や失語症についても研究を行い論文を発表しており、このころから人間の脳神経や心理活動にも大きな関心があったことがわかります。

 

パリに留学 ヒステリー症状の治療法に関する論文を発表

1885年、フロイトは29歳のときにパリへ留学し、当時ヒステリーの研究で有名だった神経学者であるジャン=マルタン・シャルコーの下でヒステリー治療の療法について学びました。

そして、パリから帰国後の1986年に男性のヒステリーについての論文を発表しますが、「ヒステリーは女性のものである」といった古い考え方が根強く残っていたウィーンの医師会からは大きな反発を受けました。

 

「自由連想法」を発明

パリから帰国後、シャルコーから学んだ催眠によるヒステリー療法を実践し続けたフロイトは、多くの治療経験を経てそれに独自の改良を加え、自由連想法を開発しました。

フロイトは、この方法を毎日繰り返すことで患者は無意識下にある感情をすべて思い出すことができると考えており、この治療法を精神分析と名付けました。

 

「構造論」と「神経症論」を確立

心的外傷について研究を続けていたフロイトの関心は、徐々に無意識そのものへと移っていきました。

あくまでも科学的な手法としての精神分析を目指していたフロイトは、精神分析は無意識の関する科学であると考え、エス、自我、超自我からなる構造論と神経症論を確立します。

フロイトは、人の心が「エス」「自我」「超自我」の三種類の機能から成り立つ心的装置として捉えていました。

それら三つの機能は互いに影響を与え合っており、それらのバランスが崩れると精神疾患が起こると考えられています。

 

エス

エスは「イド」とも呼ばれ、原始的な快楽欲求が支配している機関であり、非論理的な思考や衝動的な行動をもたらすとされています。

不快を嫌い快楽を追求する快楽原則に基づいており、無意識的であることが特徴です。

 

自我

自我は「エゴ」とも呼ばれ、エスから派生し、幼児期における基本的生活習慣などのしつけを通し、現実的思考や欲求に対する不満耐性を身に付けることで発達するとされています。

主には、イドによる衝動や欲求を現実的なものへと調整する役割を果たしています。

この自我の強さが、健全なパーソナリティの基礎となり、個人としての統一性を維持するものとフロイトは考えました。

 

超自我

超自我は「スーパーエゴ」とも呼ばれ、道徳的禁止機能や理想的規範を果たすものとされ、イドによる本能的欲求を監視、抑制するとされています。

幼児期における両親との同一視やしつけを通して取り込まれた道徳律が基礎となっており、意識のみならず無意識的に罪悪感などの感情をもたらすことが特徴として挙げられます。

 

ユングと懇意になり国際精神分析学会を創立

1907年からフロイトはスイスの心理学者であるカール・グスタフ・ユングと交流を持つようになり、定期的に集会を開くようになりました。

ちなみに、この集会にはシュケーテルやアドラーなどの著名な心理学者も招集されていました。

そして、1910年にその集会が前身となって国際精神分析学会が創立され、フロイトはユングを初代会長へ任命しました。

しかし、協力者たちの学問的見解の相違などが原因で、その後わずか3年ほどでほとんどの協力者が学会から去ってしまい、ついに1914年にはユングも脱退しています。

 

ユダヤ人迫害から逃れイギリスに亡命

1938年にナチス・ドイツがオーストリアを侵略し、フロイトはユダヤ人への迫害を恐れてイギリスへ亡命します。

ロンドンの亡命先でもフロイトは分析療法を継続して行い、自身の学説について執筆するなどの学問活動を継続しました。

そして1939年、末期ガンに冒されたフロイトは医師の協力のもと過量のモルヒネ投与により、83歳の生涯を終えました。

 

フロイト精神分析学の特徴

意識よりも無意識の働きを重視

意識よりも無意識の働きを重視

フロイトは、無意識は意識よりも膨大な量の記憶を蓄積していると仮定し、意識よりも無意識の働きを重視しました。

そして、無意識下では意識に到達しない記憶や感情が存在し、意識と無意識を不連続なものとして考え、意識のみでは確認できない無意識での心的過程を理解することで神経的症状の原因が解明できると考えました。

この考えが元となったことから、無意識と関連性の高いと思われる自由連想法や夢分析などの手法を有効なものとして提唱していました。

 

意識と無意識の間を自我が調整

意識と無意識の間を自我が調整

フロイトは意識と無意識の間に自我が存在しており、それが両者を調整する役割を果たしていると考えました。

フロイトによれば、外界で耐え難い出来事が起こると、自我は自分を守るために無意識下でその記憶と感情を抑圧状態にするといいます

このように、自我は意識と無意識の両方にアクセス可能なものとして考えられていました。

 

エス・自我・超自我の3層の心的装置を定義

エス、自我、超自我の3層の心的装置を定義

フロイトは、人間の心がエス、自我、超自我の三層で構成されているという「心的装置」の理論を提唱した人物でもあります。

心的装置は、原始的な欲望や衝動が支配しているエス、エスの原始的な衝動と現実のバランスをとる自我、そして社会的な道徳によって形成された超自我の三つに分けられます。

 

自由連想法による無意識の分析

自由連想法で無意識の内容を受け入れる治療法

フロイトの実践した自由連想法では、最初にまず刺激語となる言葉が与えられ、心の中で浮かんできたことを自由に連想していきます。

フロイトは患者にその方法を行わせて、その連想後の結果を分析することで、抑圧された無意識下の感情を顕在化できると考えました。

 

「夢判断」夢の象徴から願望・不安を分析

夢の象徴から願望や不安を判断(夢判断)

睡眠中にみる夢が無意識と密接に繋がっていると考えたフロイトは、夢の象徴から無意識下にある願望や不安を判断する「夢判断」と呼ばれる方法を唱えました。

夢は無意識による自己表現であるとし、その人の潜在的な願望を充足させるものとして考えていたことから、夢を分析することでそれを明確にできるとフロイトは考えていました。

1900年にはフロイトによって「夢判断」が出版されています。

 

フロイトの名言7選

人生は個人にとっても人類にとっても、等しく耐えがたいものである。

人生は個人にとっても人類にとっても、等しく耐えがたいものである。

人生では誰でも辛いことや耐え難いことが必ず起こる、と説明しているこの言葉は、学会からの孤立や孤独、貧困、迫害などの厳しい環境の中で生きていたフロイトの生涯をよく表しています。

また、外界で耐え難いことが起こるからこそ、無意識下による抑圧が必要になるという彼の理論の必然性も示しているといえるでしょう。

 

忘れるのは、忘れたいからである。

忘れるのは、忘れたいからである。

嫌な記憶を忘れるのは自己防衛の一種だと考えられます。

しかし、特定の記憶を完全に消すというのは決して容易ではありません。

フロイトの理論で説明するのならば、記憶が完全に消去されるのではなく、無意識下で管理・抑圧されて意識に上がってこなくなる、という表現が適しているでしょう。

 

愛されていると確信している人間はどれほど大胆になれることか。

愛されていると確信している人間はどれほど大胆になれることか。

フロイトによれば、健康に生きて行くには「愛することと、働くこと」が重要であるといいます。

つまり、人から愛し愛されることは幸福になる上で最も大切なことであり、愛されていると確信することは自分らしく生きるための自信へ繋がります。

 

恋に落ちているときほど、苦痛に対して無防備であることはない。

恋に落ちているときほど、苦痛に対して無防備であることはない。

多くの人が経験したことがあると思いますが、恋に落ちているときほど相手の些細な行動や反応などに敏感に反応して苦しむことはよくあります。

しかし、その苦しみがあるからこそ恋なのであり、苦痛に対して無防備である自分を認めてあげることが大切だといえます。

 

心とは氷山のようなものである。氷山は、その大きさの7分の1を海面の上に出して漂う。

心とは氷山のようなものである。氷山は、その大きさの7分の1を海面の上に出して漂う。

フロイトは人間の感情や行動の多くが無意識から生まれてくると考えていました。

心は氷山のように意識だけが海面から頭を出していて、残りの多くが海面下に存在する「無意識領域」であり、外から確認することができないという彼の考えを的確に表現しています。

 

人間は自分のコンプレックスを除去しようとつとめるべきではなく、それと調和を保つようにつとめるべきです。

人間は自分のコンプレックスを除去しようとつとめるべきではなく、それと調和を保つようにつとめるべきです。

コンプレックスを感じる記憶は誰もが持っていますが、コンプレックスを除去しようとしてそれらの記憶を消去するのは容易ではありません。

コンプレックスを消し去るのではなく、それらの存在を容認し、それと調和を保てる自我を形成することが重要であるといえます。

 

力は、あなたの弱さの中から生まれるのです。

力は、あなたの弱さの中から生まれるのです。

無意識下で抑圧されたネガティブな感情は、それが強烈であればあるほど、時としてあなたの大きな原動力になることがあります。

つまり、あなたの心にある弱さの中から、その後の人生を力強く生きるための力が生まれるのです。

 

もっとフロイトを知ることができる本

精神分析学入門

精神分析学入門は、フロイト自らによって精神分析学の体系やその本質ついて記述された代表的な著作です。

内容としては、1915年から1917年にかけてフロイトがウィーン大学にて一般向けに行った講義をまとめたものであり、「錯誤行為」、「夢」、「神経症総論」の三部から成り立っています。

これからフロイトの精神分析学を本格的に学んでみたい方には、最もおすすめできる著作です。

 

新訳 夢判断

こちらの書籍も1900年にフロイトによって出版された歴史的名著です。

夢について本格的な心理学的考察を初めて行った著作であり、夢が無意識の自己表現であると考えていたフロイトの理論が記述されています。

こちらもフロイトの精神分析学を深く理解したい方には、必読の内容といえます。

 

現代フロイト読本1

こちらはフロイトの残した二百余に及ぶ著作の中から、特に重要な43篇についてピックアップしたものです。

自由連想法への到達や、エディプス・コンプレックスの発見、幼児性欲の洞察などの精神分析学の体系や、フロイトの理論や言葉について、現在を代表する精神分析家たちが再検討する内容となっています。

 

まとめ

無意識の存在を前提とする精神分析を発表したフロイトは、心理学のみならず、マルクスやダーウィンなどと並んで、20世紀の思想に多大な影響を及ぼした人物といえます。

現在の心理学や精神分析の源流にもなっている彼の残した歴史的名著を、ぜひ一度読んで理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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