「Multaka」(ムルタカ)とは?美術館ガイドとして活躍する難民、ドイツの難民支援について詳しく解説
難民や亡命者に美術館・博物館のツアーガイドとしての職業訓練を行うプロジェクト「Multaka」(ムルタカ)。
このプロジェクトは、美術館や博物館の来館者を案内することで難民たちのスキルを高め、イスラム文化への理解を深めることを目的として、ドイツ・ベルリンで始動しました。
2017年にはイギリスのオックスフォード大学でも開始され、「ムルタカ・オックスフォード」は2021年11月にサウジアラビアの財団「Alwaleed Philanthropies」(アルワリード・フィランソロピー)から約1億5千万円の寄付を受諾することができました。
ドイツで行われているムルタカプロジェクトと、ムルタカ・オックスフォードの新しい取組みについて、詳しく解説します。
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美術館・博物館でガイドをする難民たち
ドイツは、ナチスによるユダヤ人迫害への反省から、戦後以来長きにわたって難民に寛容な態度を取り続けてきた国です。
西ドイツは共産圏からの難民を受け入れ、旧ユーゴスラヴィアが解体された1992年では43万人以上の難民がドイツに来ました。
2015年11月末までに、中東や北アフリカの国々から96万5,000人の難民申請を受け付け、そのうち42万5,035人が難民として認定されたといいます。
ドイツにおける難民の主な出身国は、シリア、イラク、アフガニスタンなどがあります。
難民の人々は祖国を追われ、徒歩で国境をくぐり抜け、想像を絶する長い旅路の苦労の末にドイツに到着しました。
しかし、ヨーロッパの国に自分たちの居場所を作り、生活していくことは容易ではありません。
その打開策の一つとして、ドイツの首都ベルリンで始まったのがムルタカプロジェクト。
「ムルタカ」は、アラビア語で「出会いの場」を意味します。
難民たちは博物館のガイドとして訓練を受け、新たにドイツに来た難民や移民に博物館でガイドツアーをします。
このプロジェクトは難民たちに新しい場所で活動するきっかけを与え、誤解されがちなイスラム文化への理解を深めることを目的としています。
ベルリンの国立美術館を管理するプロイセン文化財団が運営する美術館と博物館が発案し、2015年に開始されたこのプロジェクトは、現在はペルガモン美術館、ボーデ美術館、ドイツ歴史博物館の共同プロジェクトとして行われています。
ペルガモン博物館 (Pergamon Museum)
1999年ドイツの世界文化遺産として登録されたベルリンにある博物館島に位置する。1930年に開館し、古代ギリシアやローマ、中近東のヘレニズム美術品、イスラム美術品などが所蔵されているペルガモン博物館は、ドイツ随一の考古学コレクションを誇る。
ボーデ美術館(Bode-Museum)
同じく博物館島に位置する博物館。古代から中世のコインが所蔵されており、世界でも有数のコレクションで、学術的にも価値のあるものと言われている。13~18世紀にかけての彫刻コレクションは世界最大規模。
イスラム文化への理解を深めるツアー内容
ツアーガイドの内容は、各美術館・博物館のプログラムをベースに、イスラム文化やドイツの歴史・文化も盛り込まれています。
プロイセン文化財団のヘルマン・パーツィンガー理事長は、
イスラム文化やアラビア美術がツアー内容に含まれていることは、祖国を失い、見知らぬ土地に身を置く人々にとって重要だ。
と強調しています。
ガイドツアーの対象は主に10代の若者から高齢者まで、全ての年齢層を対象としています。
難民の人々が美術館に足を運び、社会的・文化的な接点を見つけ、移住先に適応するきっかけを増やすため、ツアーガイドはシンプルな言葉で来館者に語りかけます。
ペルガモン美術館に展示されているシリアやイラクの工芸品は、人類の歴史を物語る優れた作品です。
ムルタカは、難民たちが祖国の文化遺産に対する世界の評価を実感することで自尊心を高め、社会参加の意欲を持つことを大きな目標としています。
ドイツ歴史博物館では、ドイツの戦後の歴史を振り返るツアーを主に行なっています。
第二次世界大戦後とそれに続く復興の時代が、ガイドツアーのメインとなっており、イラクやシリアでの破壊が物語の終わりではないというメッセージを含んでいます。
難民としてドイツに逃れ、ベルリンの博物館でツアーガイドをしているバッシャール・モハマド・シャヒンは、参加者に伝えたいメッセージとして、
第1次、2次世界大戦中にドイツで何百万人もの人々が殺され、多くの物が破壊された。
それでもドイツは、民主主義や技術力、経済における大国になった。
だから私たちは学ばなければならない。
いつの日か祖国に戻った時に同じことをしなければならない。
祖国を再建しなくてはならない。
とコメントしています。
ムルタカプロジェクトはドイツ国内で高く評価され、ドイツ銀行などから多くの賞を受賞しています。
今ではツアーの参加対象を難民に限らず、ベルリン市民や一般観光客に広げており、一般市民が難民たちの歴史・文化的背景に触れることで、社会の多様性を学ぶ機会を提供しています。
さらに、ワークショップや講演会、特別なガイドツアーなど、イベントへの定期的な参加を呼びかけることで、難民の人々に長期的にプロジェクトに参加してもらう機会も用意しています。
文化的な活動が余暇の楽しみの1つとして彼ら自身の生活に馴染んでいくような取り組みが続けられています。
2019年には「ムルタカ・インターナショナルプロジェクト」が発足し、ドイツ、イギリス、イタリア、そしてスイスの5ヶ国の美術館や博物館15箇所でツアープログラムがスタートしました。
イギリスで始まった「ムルタカ・オックスフォード」
ムルタカプロジェクトに感銘を受けたイギリス、オックスフォード大学の美術館は、地元の難民コミュニティと協力し、独自のプロジェクト「ムルタカ・オックスフォード」を2017年に立ち上げました。
これまでに、シリア、エジプト、イラク、ジンバブエ、スーダンなどから来た約100人のボランティアガイドが、オックスフォード大学併設のピット・リバーズ博物館と科学歴史博物館で、イスラム世界の作品を中心にコレクションの解説や共同編集を行ってきました。
彼らの活動は、2019年にイギリスの名誉ある「コレクション・トラスト・アワード」と「ミュージアム+ヘリテージ・アワード 」を受賞しており、博物館、芸術、遺産の分野で国際的に高い評価を得ています。
ピット・リバーズ博物館(Pitt Rivers Museum)
オックスフォード大学の自然史博物館に併設されている、25万点以上の展示物が収集されている博物館。19世紀の博物館の姿をそのままに残していることから、2世紀経った今でも19世紀の頃と変わらぬ展示を見ることができる。
2021年11月には、サウジアラビアの首都リヤドを拠点とするアルワリード・フィランソロピー財団から約1億5千万円の資金提供を受けることが決定しました。
この資金提供によって、オックスフォードシャー州にいる難民200人にガイドツアーの職業訓練を提供することが可能になりました。
今回の資金提供による拡張プロジェクトでは、
・ボランティアチームの増員
・アラビア語と英語によるミュージアムツアー
・展示物の取り扱いに関する講義
・共同企画による展示・イベントの開催
などが決定しています。
アルワリード・フィランソロピー財団の局長、サウジアラビアのラミア王女は、今回の資金提供について以下のように語っています。
難民に手を差し伸べ、芸術や文化の力で彼らを地域社会に統合するこのプログラムは、社会の異文化理解を深める上で強力な役割を果たしています。
イスラム文化は、誤解されがちな私たちの遺産を物語っています。
ムルタカオックスフォードはこうしたギャップを埋め、美術館のコレクションに新たな命を吹き込みます。
芸術文化への理解が平和に繋がることを信じて
ムルタカプロジェクトの取り組みは、文化芸術が国同士の論争や歴史的な問題を緩和し、人々の相互理解を促す効果があると世界に示す内容となっています。
居場所を求めて亡命国にやってきた難民の人々は、ムルタカでのプロジェクトを通し、彼らの新しい居場所を作り出しました。
芸術文化が今後もそうした社会的役割を担い、この活動が世界的に広がることを願います。
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