イタリア美術教育美術館
ART

ウフィツィ美術館が子供向けのプロジェクト「Uffizi Kids」ウフィツィ・キッズを開始

イタリア、フレンツェにあるウフィツィ美術館が初の試みとして、子供向けのプロジェクト「Uffizi Kids」(ウフィツィ・キッズ)を2021年11月からスタートしました。

このプロジェクトは、ルネッサンス期の名画を子供の目線に合わせて展示したり、専任スタッフが子供向けツアーを行うことで、子供たちに文化芸術により興味を持ってもらうことを目的として始動しました。

ウフィツィ美術館の新しい取り組みについて詳しくご紹介します。

 

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「子供目線」に寄り添った取り組み

ルネサンス発祥の地、イタリア・フレンツェにあるウフィツィ美術館(Galleria degli Uffizi)は、フレンツェの人気観光スポットの一つとなっています。

レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエッロ、ミケランジェロ、ボッティチェリなどルネサンス絵画の巨匠作品を2,500点ほど所蔵しており、貴重な絵画を一目見ようと世界中から来館者が訪れます。

大人たちにとっては楽しい美術館ですが、広い美術館の展示室を引きずり回される子どもたちとっては辛い環境かもしれません。

 

1970年に発足したウフィツィ美術館の教育部門は、歴史的な絵画など文化遺産との触れ合いが幼少期、青年期の成長に不可欠な要素であると考えており、学校の美術館訪問時の対応や家族向けのガイドツアー、障害者向けの特別支援などを行い、アートを子供の目線に引き下げることを基本姿勢としています。

教育部門のコーディネーター、シルビア・マスカルキさんは、

適切な方法で子どもたちとコミュニケーションをとれば、芸術の素晴らしさに目を開かせることができます。

子どもたちが大きくなったときに「街に行ったら美術館に寄ってみようかな」と思えるように、アートを当たり前のものにしたいと思っています

と語ります。

 

作品を子供の目線まで引き下げて展示

2019年には、子どもたちに人気のベアト・アンジェリコの緻密な絵画「テバイデ」を、地面から65cmの高さに吊り下げ、約1,150人の子どもたちが美術館を訪れました。

ウフィツィ美術館は小さな来館者により満足して帰ってもらい、再び来たいと思ってもらうために、子供向けに特化したプログラムをさらに充実させることにしました。

 

ベアト・アンジェリコ作「テバイデ」

15世紀初頭に活躍したイタリアの初期ルネサンス・フィレンツェ派の画家ベアト・アンジェリコが制作した絵画。岩場の風景の中で、修道士たちが祈りと禁欲の生活に関わるさまざまな活動をしている様子を表したもので、緻密に描かれている。1420年頃に制作。

 

UffiziKids(ウフィツィ・キッズ)特設ページを公開

ウフィツィ美術館の公式サイトには、「UffiziKids」という子供向けのページが新たに公開されました。

モンスターや花が出てくる絵画に特化した子供向けの館内マップやワークシートがウェブ上からダウンロードでき、それを持って館内を巡ることができるようになっています。

いずれもイタリア語と英語版が用意されています。

 

子供向け来館ツアーを紹介する動画は、館内のルネサンス絵画からアニメーションが登場し、小さな子供たちの質問に答える案内人と共に、ファンタジー映画のように不思議な絵画の世界への探検が始まっていくような映像に仕上がっています。

 

40人以上の専任スタッフが付き添い

先入観がない子どもたちは「難しい質問をする達人」だとマスカルキさんは語ります。

ウフィツィ美術館は、子供たちに付き添い案内する専任スタッフを40人動員しました。

子供たちが来館した際には、彼らの案内人として徹底的に付き添い質問に答えます。

子どもたちが一目でわかるように、専任スタッフの制服には特別なスマイルマークが付いた「ウフィツィ・キッズ」のバッジが着いています。

 

11月22日から開催されている古代ローマの考古学をテーマとした企画展では、簡略化されたコミック調のラベルや説明文、子供の身長に合わせた作品の配置、子供たちが古代ローマ時代に流行したゲームで遊ぶことができるスペースも用意されています。

企画展示自体は大人向けの展示になっていますが、展示の至る所に子供たちに向けた工夫が詰め込まれています。

 

終わりに

子供連れでも楽しめるアニメーションやガイドツアーの取り組みは日本を含め他の国の美術館でも積極的に行われていますが、ルネサンス絵画など古典美術の展示を子供向けに工夫するという取り組みは世界でもなかなかありません。

子供たちに、自国の文化や歴史に目を向けさせるウフィツィ美術館のような取り組みが、今後他の国でも増えていくことを願います。

ウフィツィ美術館の今後の取り組みにも目が離せません。

 

ウフィツィ美術館「ウフィツィ・キッズ」公式ページ
https://www.uffizi.it/en/pages/uffizi-kids

 

 

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