ボッティチェリヴィーナス誕生
ART

名画「ヴィーナスの誕生」とは?ボッティチェリの名作を徹底解説

ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」は、ルネッサンス期を代表する名画です。

美術の教科書や資料集にも必ずと言っていいほど載っている絵なので、多くの人が一度は目にしたことがあるでしょう。

この記事では、その名画が制作された背景や、作品をより楽しむための鑑賞ポイントについて解説していきます。

 

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「ヴィーナスの誕生」とは?

サンドロ・ボッティチェリの代表作

「ヴィーナスの誕生」は1486年、ルネッサンス期にイタリアの画家サンドロ・ボッティチェリによって制作されたテンペラ画です。

女神ヴィーナスが海より出現するギリシャ神話の一節が描かれており、それまでの古典的なリアリズムとは異なる様式でヴィーナスの美しさを象徴している作品であるといわれています。

ボッティチェリの代表作であり、ルネッサンスの最盛期を告げる名画の一つとして世界中の人々からよく知られている作品です。

 

女性の神秘性を描いたと言われる

「ヴィーナスの誕生」は女性の神秘性を描いた作品であるといわれています。

それまで主流であった中世キリスト教の禁欲的な思想とは異なり、ボッティチェリの描いたヴィーナスは官能的であり、究極の美しさを追求しているものと考えられます。

目に触れられるものや手に触れられるもの、美しいものを美しいまま描くというルネッサンスの思想がよく表れている作品です。

また、ボッティチェリは古典的な写実主義的表現ではなく、装飾的な表現を施すことによって女性の神秘性や美しさを余すことなく表現しています。

 

ヴィーナス誕生の物語

ギリシャ神話の一節

ギリシャ神話の中では、女神ヴィーナスは海の中から成人の姿で生まれてきたと伝えられています。

誕生したヴィーナスが貝の上に乗り、風に吹かれながら、理想郷スペリデスの果樹園へ辿り着く一節が一枚の絵の中に収められています。

ちなみに、この絵が描かれた当時の多くの絵画がローマ・カトリック教の宗教的テーマを題材にしていたことを考えると、神話画であるこの作品のテーマは異教的なものであったと考えられます。

 

 愛の誕生の象徴とされる

このギリシャ神話で語られるヴィーナスの誕生は、愛の誕生を象徴していると考えられています。

神々の中でも優れた美貌で知られる女神ヴィーナスは、愛と美と豊穣をもたらします。

その女神が恥じらいを感じさせる立ち姿で官能的に描かれているこの絵は、美しさや愛の誕生を感じさせる優美な作品であるといえます。

 

作品の登場人物

 ヴィーナス

この絵は三分割法によって、登場人物が大きく三つに分けられています。

女神ヴィーナスは中央に描かれており、愛と美と豊穣の象徴として、その誕生した姿が優美に描かれています。

ヴィーナスは西風ゼフィロスによって運ばれ、キュプロス島へ辿り着きます。

その後キュプロス島はヴィーナスの聖地となり、オリュンポス宮殿の全ての男神がヴィーナスのあまりの美しさに心を奪われたと伝えられています。

 

 西風の神ゼフィロスとニンフ

画面の左側に描かれているのは西風の神ゼフィロスとニンフです。

ゼフィロスは西風の神であり、誕生したヴィーナスに息を吹きかけてキュプロス島へとヴィーナスを運ぶ役目を担っています。

また、ゼフィロスに抱かれているのは妖精であるニンフのクロリスであり、一説によればこの後クロリスはゼフィロスの妻となり花の女神フローラになったと言われています。

 

 女神ホーラの1人

画面右側に描かれているのが、季節と時間の女神ホーラです。

辿り着いた裸体のヴィーナスへ、身をくるむためのマントを持って駆けつけている姿が描かれています。

ホーラは時間の女神であるため、季節の到来が規則正しく訪れるようにして植物の成長を見守る役割を担っています。

したがって、彼女の衣装には植物をモチーフとした柄が細かく描かれています。

 

「ヴィーナスの誕生」鑑賞のポイント

 ヴィーナスが持つ「不完全な美しさ」

ボッティチェリは、ヴィーナスを描く際にリアリズムに則った写実主義は用いず、その美しさを強調することに主眼を置きました。

したがって、ヴィーナスの首は現実ではあり得ないほど長く、右に大きく下がった肩や姿勢なども解剖学的にはあり得ないバランスとなっています。

しかし、非現実的な骨格バランスでありながらどこか自然な美しさを感じさせる佇まいこそ、この作品の最大の特徴です。

 

「左から右に流れる時間」を表現した構図

この絵では、ヴィーナスが誕生してから西風に吹かれて島へ辿り着くまでの過程が一枚の画面で表現されています。

時系列として左から右へ流れる構図になっており、画面を3分割し、それぞれに登場人物とその役割を描くことで時間の流れがわかるようになっています。

この時間の流れを表現した構図が、物語としての神話性をより強く打ち出しているのです。

 

 海やホタテ貝、植物などの背景

この絵には、人物以外に海やホタテ貝、植物などが背景として描かれています。

ヴィーナスが誕生した海は「命の誕生」を意味しており、彼女が乗っているホタテ貝は豊穣の象徴です。

また、画面右上のオリーブの木は平和を、ところどころで宙を舞っているバラは愛を表現しています。

このように背景に描かれているものは一つずつ意味を持ち、作品のテーマを強調する上で重要な役割を果たしています。

 

「ヴィーナスの誕生」が描かれた理由

「ヴィーナスの誕生」が描かれた理由には諸説ありますが、当時隆盛を誇ったメディチ家の依頼によるものではないかとの説が有力です。

「ヴィーナスの誕生」の画面右側に描かれているオレンジの葉はメディチ家を象徴するオレンジを表しているとされ、主要な後援者であったメディチ家とボッティチェリは親交が深かったと言われています。

また、この絵が完成後にメディチ家の別荘に飾られていたこともふまえると、メディチ家の統治を称賛するために制作されたと考えられるでしょう。

 

「ヴィーナスの誕生」が鑑賞できる美術館

ウフィツィ美術館

「ヴィーナスの誕生」は現在、イタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館に所蔵されています。

ウフィツィ美術館はルネッサンス絵画で大変有名な美術館です。

ボッティチェリと交友が深かったとされるメディチ家歴代のルネッサンス絵画を多数所蔵していることから、ルネッサンス美術を語るうえでも欠かせない美術館として知られています。

 

ウフィツィ美術館詳細

開館時間:8:15~18:50

休館日:月曜日 、1月1日、5月1日、12月25日

入館料: 大人20€ 18歳未満無料

 

もっとボッティチェリの作品を知ることができる本

もっと知りたいボッティチェリ 生涯と作品

「もっと知りたいボッティチェリ 生涯と作品」は、ボッティチェリの66年間の生涯を主要作品と共にふり返っていく内容となっています。

主要作品はもちろんのこと、特集ページには肖像画、素描、女神像、ダンテとの関係、工房制作などボッティチェリの生涯や作品を理解するために参考となる資料も充実しているため、ボッティチェリをより深く知ることができます。

もっと知りたい簿生涯と作品

1,980円 (税込)

出版社 ‏ : ‎ 東京美術 (2009/12/20)

 

ボッティチェリ画集

世界の名画シリーズ「ボッティチェリ画集」は、ボッティチェリの作品のほとんどを収録しています。

ボッティチェリの修行時代から晩年の作品まで時代に沿って鑑賞することができます。

各作品には詳しい解説も添えらえており、ボッティチェリの作品をこれから楽しんでみたいと思っている方にもおすすめできる画集です。

ボッティチェッリ画集(世界の名画シリーズ) Kindle版

62円 (税込)

出版社 ‏ : ‎ 楽しく読む名作出版会; 第2版 (2015/12/7)

 

絵を見る技術 名画の構造を読み解く

「絵を見る技術 名画の構造を読み解く」は、名画の数々を鑑賞する際の鑑賞方法や楽しみ方をわかりやすく解説している書籍です。

この本で名画の楽しみ方を学んだ後に「ヴィーナスの誕生」を鑑賞することで、今まで気づかなかった作品の魅力や画期性、当時の背景などが深く読み取れるようになること間違いなしです。

絵を見る技術 名画の構造を読み解く

2,035円 (税込)

出版社 ‏ : ‎ 朝日出版社 (2019/5/2)

 

まとめ

ボッティチェリの描いたヴィーナスは、現代人が思い浮かべるヴィーナスの理想像を完成させたと言っても過言ではありません。

究極の美しさと愛を優美に表現したこの作品は、それほどまでに世界中の人々を魅了しているといえるでしょう。

世界的に有名なこの名画を、これを機により深く味わってみてはいかがでしょうか。

 

 

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