イギリスバンクシー
ART

バンクシーがバレンタインデーに新作を発表、「家庭内暴力」の問題に警鐘鳴らす

2023年2月14日のバレンタインデー当日、バンクシーの公式Instagramに新作が投稿されました。

「Valentine’s day mascara(バレンタインデー・マスカラ)」と題されたこの作品は、バンクシーがバレンタインデー当日に、イギリスにある海辺の街、マーゲイトで描いたもの。

この作品に描かれたテーマは「家庭内暴力」と推測されており、バンクシーがバレンタインデーにあえてこのテーマを選んだことに対して、世界中のファンから賞賛のコメントが寄せられています。

 

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バレンタインに公開された新作「Valentine’s day mascara」

政治・戦争などをテーマに、ゲリラ的にメッセージ性の強い落書きを残すことで知られているバンクシー。

新作への期待が高まるなか、2023年2月14日のバレンタインデー当日、彼の公式Instagramに新作が公開されました。

この壁画は、イギリス・ケント州の中でも、経済的に貧しい地域として知られている海辺の町、マーゲイトの街中の壁に描かれたもの。

投稿は数時間のうちに50万以上の「いいね!」を獲得。

絵に込められたメッセージに多くのファンが共感し、彼を称賛するコメントが殺到しました。

 

テーマは「家庭内暴力」?

マーゲイトの街中にある白い煉瓦の壁に描かれたのは、1950年代風の主婦の格好をした女性が、壁のすぐそばに放置された冷凍庫に男性を放り込んでいる様子。

女性はこちらに微笑みウインクしていますが、よく見ると片方の目には痣があり、歯が一本欠けていることから、誰かに殴られた=家庭内暴力の被害者だということが推測できます。

冷凍庫の端には突き出てた男性の足だけが描かれ、女性が加害者男性を捨てている様子を描いた作品だということが分かります。

 

地元のメディア「KentOnline」によれば、この作品のタイトルは、1929年にシカゴで起きたノースサイド・ギャングとサウスサイド・ギャングとの間で起きた抗争事件「Saint Valentine’s Day Massacre(聖バレンタインデーの虐殺)」にちなんで名づけられたとのこと。

また、イギリスのビジュアルアーティスト、Tracey Emin(トレイシー・エミン)の自伝の中に、彼女が幼少期に受けた性的虐待の体験が記されており、マーゲイトの公園も登場することから、描かれたこの場所にも意味があるのでは、と推測されています。

 

影のパンデミック、家庭内暴力の現実

女性や子どもに対する家庭内暴力は、パンデミック・ロックダウンの間に急増したことから、近年、世界的に深刻化している問題の一つです。

2020年に国連が発表した調査報告書では、先進国のカナダ、アメリカ、ドイツ、スペイン、イギリスで家庭内暴力の事例が増加傾向にあり、緊急シェルターの需要が高まっていることが明らかになりました。

 

イングランドとウェールズの最新の犯罪調査でも、2022年3月までの1年間に16歳以上の成人の5%(女性6.9%、男性3%)が家庭内虐待を経験しており、これは成人240万人に相当すると推定されています。

家庭内暴力の増加は「影のパンデミック」とも呼ばれ、深刻な社会問題となっています。

 

バンクシーの投稿に共感のコメントが殺到

 
 
 
 
 
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Banksy(@banksy)がシェアした投稿

バレンタインデーという日にあえて、「家庭内暴力」の問題に触れる作品を発表したバンクシー。

彼の投稿には、多くのファンから賞賛のコメントが寄せられています。

 

「これは一部の人々の現実だ」「バレンタインデーにさえもついて回る女性に対しての暴力との戦い」といった共感の声や、自身の家族が経験した家庭内暴力や虐待の実体験を記す人もいました。

中には、女性の服装の色がウクライナの国旗の色に似ていることから、「ロシアとの間で起きている戦争への皮肉の意味も込められているのでは」といった考察もありました。

 

市の作業員が冷蔵庫を撤去

バンクシーが作品を投稿した数時間後、地元作業員が作品の一部として使用されていた冷蔵庫を撤去。

それについて地区議会は「壁画は私有地の壁に描かれていたが、冷蔵庫は公共の場所にあり、安全上の理由から撤去した」と説明しました。

その後、安全が確認されたため冷蔵庫はもとの場所に戻されました。

 

壁画は遊園地に移設予定

作品は盗難防止と保護のため、一時的に保護ガラスで覆われています。

市は作品を安全に保管し、多くの人が鑑賞できるように、ドリームランド遊園地への移設を検討中とのこと。

壁を安全に取り壊し移設するには、最大で10万ポンド(約1,400万円)かかると言われています。

 

バンクシー作品の相次ぐ盗難事件

1990年代にイギリス・ブリストルで壁への落書きを始めたバンクシーは、この20年の間に、世界で最も有名なグラフィティアーティストの一人になりました。

しかし、壁画の所有・保管を巡る問題や争いが様々な場所で起こっており、いくつかは建物から取り外されたり、建物のオーナーによってオークションで売られることもしばしば。

 

また、バンクシーの作品の市場価格の高騰に伴い、盗難事故も相次いでいます。

2015年のパリ連続テロ事件が起きた劇場「バタクラン」に、バンクシーが追悼の意味を込めて描いた壁画は、2019年1月に扉ごと盗まれ、同年の9月には、ポンピドゥー・センター近くの路上に描かれたネズミの壁画も盗難に遭っています。

2022年の12月には、ウクライナで描いた壁画を盗もうとしたグループが警察に阻止される事件が起きました。

 

バンクシーがバレンタインデーにあえて、「家庭内暴力」の問題にフォーカスを当てたこの壁画が、無事に移設・保管されることを祈るばかりです。

 

 

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