2020/07/01

インタビュー   
   アート    

ARchitecT K2 さんインタビュー|鬱病を乗り越えて「自分の内面と向き合う」ための絵画

こんにちは!thisismedia編集部です。

今回は、抽象絵画をメインに制作活動をされている ARchitecT K2 さんにお話を伺いました。

自身の鬱病をきっかけに制作活動をスタートしたARchitecT K2 さん。

鬱病を乗り越えるため自身の趣味としてスタートした制作活動は、次第に多くの人の評価を得て、現在では隠れた人気アーティストに。

鬱病を乗り越えた現在も、一級建築士として設計の仕事をしながら、作品を数多く制作されています。

今回は、制作活動を始めたきっかけや、「建築とアートの違い」について詳しく語っていただきました。

「建築」という彼の中にもともとあった美意識と、「自分の精神を表現したい」という気持ちが絵画という形に結びついたことで、素敵な作品が多く生まれているのだと、今回のインタビューでさらに実感しました。

作品をまだ見たことのない方にも楽しんでいただける内容になっていますので、ぜひ最後までご覧くださいね。

 


 

Feature Artist 
ARchitecT K2

Profile
東京理科大学大学院建築科を修了後、竹中工務店設計部所属。一級建築士取得。建築設計に携わる過程でミニマリズム、モダニズム、近代デザインや装飾性、哲学思想を学ぶ。 一年ほど鬱病と診断され、休職後、社会復帰を果たす。休職中、芸術に救われるような感覚を求め制作活動を開始。自浄作業としての制作活動は次第に多くの人の共感を得て、近年ではコレクターからの注目も集める。作品の売上の一部を、鬱病に苦しむ人へのサポート金として寄付している。
HP:https://architect-k2.stores.jp/

 


 

talk.1
「生の自分」と向き合う

 

───

まずはじめに、制作活動を始めたきっかけを教えてください。

 

 

ARchitecTK2

心の病気をして、これまで築き上げたもの全部が嫌になったんです。

過労で会社を休んで、離婚もして、虚無感にさいなまれて。なにかそういった自意識から逃避したくて油絵を始めました。

一番最初に診察された時は「脳の過労です」と言われました。

仕事でプロセスを組んだり、スケジュールの優先順位を考えたり、それまで意識せずに出来ていたことが、突然出来なくなってしまいました。

それから、文字を目で追うことが出来なくなって、大好きな読書も出来なくなり、テレビや他者の会話も猥雑に感じられるようになってしまいました。

一日中息苦しくて、歯磨きで腕を動かすことさえダル重く億劫になり、「鬱状態」と診察されました。

 

脳と心と身体と、全てにボイコットされたような状態で。

会社にも行けなくなったので、ただただ膨大な時間と焦燥感だけがあって。。

そんな時間から逃れるために「何か没入できるものがないとしんどいな。」と思いました。

それまで没入できていた映画や小説に拒絶反応が出てたので、新しく没入できるもの、無心で手を何かを探してましたね。

心療内科ドクターやカウンセラーからのアドバイスで、昔から興味のあった「陶芸か油絵とかがリハビリになるかな」と思いました。

 

 

窯は自分で用意できないけど、キャンバスや絵の具だったらそんなにお金もかからずできそうだったので、油絵を描き始めました。

油絵の基礎があるわけではないので、好き勝手に描いてましたね。

他の人が面倒くさいと思うような工程に没入して、時間を忘れ、そして我を忘れることこそ自分が求めていたことでした。

今は仕事に復帰してますが、生命力が弱ってるような時に油絵を描いて、

逆に元気な時は会社でちゃんと建築の仕事をして、という住み分けが現時点での理想かなと思っています。

 

───

なるほど。

病気になる前にも、絵を見て癒されるような経験はあったんでしょうか?

 

ARchitecTK2

いや、そんなにですね。

好きな画家ができたのも、病気にかかった後でした。

 

───

「絵のことをわかっている人が描いているな」というのがARchitecTK2さんの作品を見た最初の印象だったので、それは意外でした。

普段、建築の仕事をされていることも影響していると思いますが、「相当絵や作家のことを知っている人じゃないと描けない絵だな」と思っていたので。

 

ARchitecTK2

そうなんですね。恐縮ですが。。

多分今でも「現代アート好きなんだったらこの人くらいは知ってるよね」っていうアーティストの半分も知らないと思います。

今でこそ好きなアーティストさんはいるのですが、そこまで博識ではないと思います。

 

───

今までは「建築一筋」という感じだったんですか?

 

ARchitecTK2

大学で建築を始めてからはそうですね。

元々は時計とかペンとか、身の回りのプロダクトデザイナーになりたくて。

国立系の大学でプロダクトデザインを学べる大学を受けようと思いました。

他に入りたい学科がなかったので、滑り止めでプロダクトデザインに近いであろう建築を選びました。

元々建築をやりたくて入った訳ではないのですが、建築学科に入ってからは全部新鮮で楽しくて、それからはずっと建築一筋、という感じです。

 

学生時代に描いた建築物のスケッチ

 

周りの建築が好きな人達は、3歳くらいから「傘の下のこの空間が好き」とか「パパあそこの建物に連れてって」とか、幼少期から空間やインテリアにかなり目を配る人達ばかりなんですよね(笑)

 

───

それは…(笑)

「空間フェチ」的な?

 

ARchitecTK2

僕にはそういった「養われた空間フェチ」がなかったので、全てが新天地で。。

建築は創造と問題解決を同時に行うので、そこが快感になりましたね(笑

大学に入る前は25年間くらいクラシックピアノをやってたんですけど、同時に水泳選手としての生活も長くて16年くらい。。

習い事がない曜日はなく、一日に複数掛け持ちしたり。。

勉強(頭)と運動(身体)と感性(心)を鍛えることを、ローテーションしているような感じでした。

ただ全部個人プレーなんですけどね(笑)

勉強ももちろん一人ですし、あまり「グループワークに向いていないな」っていうのは思っていました。

 

───

作品を見た時に「絶対音楽をやっている人だな」と思ったんです。

ARchitecTK2さんの中の規則性のようなものを作品から感じて、そこに音楽もきっと引っ掛かっているんじゃないかと思っていました。

 

 

ARchitecTK2

心情を言語化するのが不得手で、もやもやと抱えてる雰囲気をなんとか絵に表現するようにしてます。

なので、その曲だったり絵だったりを感じる心のトレースした結果がなにか似てるな・・・と思ったらその曲を絵のタイトルにしたりしています。

ただずっと音楽は聴きながら描いていますね。

 


 

talk.2
絵画を「エスキース」する

 

───

一個一個の作品の中に、何か規則やルールを感じるのですが、

描く前に頭の中でかなり作り込む方ですか?それとも、あまり考えずにアウトプットされていますか?

 

ARchitecTK2

完成図はあまり考えずに、その時の気分次第なところがあります。

建築では、最初にお客さんから課題や要望があって、それから自分で線を描いてお客さんにプレゼンしたり模型を作ってみたりします。

思いついてから図面や模型作成、果てには建物までにかなり時間が経ってしまうので、必然的に「客観的に見る」のが建築の宿命、、ですかね。

「こういう模型を作ろう」と思った瞬間にすぐ模型は出来なくて、木材を切ってノリを貼ったり3日くらいかかったりするんです。

 

その間に客観的に見れるようになって良い悪いが俯瞰して思えたり、「ここがこうなるんだったらもっとこうしよう」とかアイディアを切り替えたり、積み重ねることで新しく見つけられることもあるんですよね。

油絵は時間がかかるものなので、工程のなかでちょっと客観的になった瞬間に「下地でこっちがこんなに明るいんだったらこっちに金色を持ってこよう」というように、自分で自分をエスキースしています。

 

 

───

エスキース、ですか?

 

ARchitecTK2

はい。

建築では一回アウトプットしたものを自分や先生が客観的に意見して良くするプロセスを「エスキース」と言うんですよね。

デザインディスカッションのような感じです。

ディスカッションを積み上げて密度の高いアウトプットにしていく、というデザインの構築の仕方を大学で学んだので、必然的に絵画でもそういう描き方になっているんじゃないかと思います。

 

これとかも、普段は下地の線が見えないように綺麗に角を丸めているのですが、ふとした瞬間に引っ掛けてしまって、色が薄くなってしまったんです。

 

 

その濃淡が現れるのが面白いなと思って、この下地はわざと十字に波をつけることで、縦の方向だけでなくクロス状に下地が薄くなる部分を見ながら上に色を乗せていこうと思ってやっていました。

最初から完成予想図通りにいく作品はそんなに多くないですね。

気分によっては「真っ直ぐ行くんじゃなくて右に曲がっちゃおう」みたいな感じで、最初の目的地とは離れた方向に進んで行くような作品も結構あったりします。

 

───

なるほど。

少ない手数に見えても、一瞬の閃きや直感で作品が出来上がっているんですね。

 

 

ARchitecTK2

シリーズ化し始めると前作の課題を考えてながらやったりもします。

これもまた建築との比較になるのですが、都会・田舎に関係なく、建物は自然の中に建てるんですよね。

自然に負けてもいないし自然を排除してもいないような、ちょうどいいバランスが一番いいかなと思っていて。

ランダムなものと、カチッとしたものが両方混ざっている状況が結構好きです。

だから油絵の方でも、秩序立ったものと自由なものの融合というか。そういった感性を大切にしてます。

これも構図としてはただ対角に色を分けただけなんですけれど、スタンプリーなものは全然規則性がなく叩いてたりします。

 


 

talk.3
自分のために描く

 

───

ARchitecTK2 さんの制作スタイルは、建築が下支えしている部分が大きいような気がします。

ご自身の中で「アートと建築の立ち位置」や「住み分け」のようなものがあれば教えてください。

 

ARchitecTK2

絵を描くときは、自分のために描いている感じです。

建築はどうしてもお客さんのお金で、お客さんの物を作る手伝いをしているだけなので。

お金がないとプロジェクト自体が始まらないんですよね。

だから「建築士として働く」という事は極論、半分は奉仕なんです。。

絵の場合は全部自分のお金で、自分のために作れるので、そこがかなり自分の中で違いますね。

建築は第三者的な顔で出来るんですが、絵は”生の自分”のような感じで。

かなり住み分けは大きいです。

 

───

建築は外面の自分で、絵はもっと自分の内面に近い、ということでしょうか?

 

ARchitecTK2

そうですね。

絵は自分のお金でできるので、「自分で描く」っていうこと自体がいいと思っています。

 

建築が嫌になる理由の一つに、どうしてもお客さんのお金で建てなくてはいけないので、お客さんに指名してもらうために「いかに自分が凄いのか」を飾らなくてはいけないということがあります。広告ですね。

お客さんや社会に対して、実際にはできていなくても「自分はこんなにできますよ」というようなことを皆システム上言うのです。

反対に、絵は究極的に自己満足できると言うか。

絵は僕が究極的にいいと思ったアウトプットを、似たような気持ちで「いいな」と思ってくれた人がお金を払ってくれるんですよね。

だから絵は「売るために描いているわけじゃない」というのが自分の中ではかなり大きいです。

結局は絵も、お客さんがお金を払ってくれるので、俯瞰して見たら似たようなものなんですけど。

 

絵のスタートは自分のお金で、自分が思った通りに描き終えて、それが結果、お金と交換になる。

その順番が建築と違っていいと思います。

実名も出していないので、内側の自分を無理やり社会と繋げる必要がないところも重要です。

 


 

talk.4
アートと建築の違い

 

───

ご自身のエッセイで建築のネガティブな部分について書かれていたと思うのですが、それについて詳しく聞かせて頂けますか?

建築だけでなく、アートにも言える問題だと感じたのですが。

 

僕は一番好きな建築の世界で、人生最も不幸になった。

簡単には立ち直れなかった挫折。

一番好きだった建築でドン底に堕ちた。

虚しさにやりきれず、生きる意味がわからなくなった。

同じ時期に離婚もしたし、友人とも疎遠になった。

だって本当にわからなくなってしまったから。

それでも建築の世界に戻ってきた。

それは建築に救われたからではない。

上辺だけの建築に、上滑りに聞こえる建築家の言葉に、マスターベーションのような建築作品に、希望も価値も見い出せなかったから。

だからこそ戻ってきた。

不定期エッセイ VOL.6「救い」

 

ARchitecTK2

建築の場合も、最初はお客さんからプロジェクトを貰おうとしているので、お客さんの方が立場が上なんですよね。

有名建築家になって社会的地位を得ると、なんかその上下関係が逆転するんです。

そこまで赤らさまではありませんが(笑)

そうした途端に、建築家が好き勝手やるような図面を建築雑誌で見るわけです。

今までの鬱憤を晴らすように(笑)

その辺りが自分としても首を傾げている部分です。

 

大学に入って建築をいいなと思ったきっかけは、「建築家はただ建物を建てる人というより、その人の生活を豊かにして、いかに満足して一生を終えられるかを考える人です」という話を聞いたことでした。

 

僕の理想にかなり近い、とある海外の建築家がいて。

彼はよく別荘を建てるので、軽井沢にも設計事務所があって、インテリアデザイナーの奥さんと一緒に仕事してるんです。

一般的な建築事務所は、睡眠不足職業ランキングの上位にくるくらいブラックな業界で、ぎゅうぎゅうに設計者が働いているイメージが一般的だったのですが、そんな時代に11時と15時に必ず広い庭で5、6人のスタッフとティータイムがあったり。犬を庭に放していて戯れたり。

そんなティータイムで「良い建築とはどういうものか」というような抽象的な会話をしたりして、楽しみながら人生を彩っているんです。設計行為が中心にありながらね。

「 本当の幸せってこれだな」って思ったわけです。

単純に、カリカリ秒詰で仕事をやっている人が、「ゆったりした時間を過ごしたい」と思って別荘を建てるお客さんに、居心地の良さを提供することはできないんじゃないかとも思いましたけどね。。

 

建築でも「いかに生活を豊かにできるか」という部分は大事だし、絵は自分を内面的に豊かにしてくれるので、自分のお金で自分のために描ける部分も含めて良いなと思いますね。

 

───

全て自分の中で完結できる。という部分が建築と大きく違うんですね。

 

ARchitecTK2

完成度というよりは、自分自身を昇華した純粋度みたいなのが高い作品が、何世紀にも渡って残るんじゃないかと思ってます。

僕はマーク・ロスコが好きなのですが、彼のように精神性が高く、内面を見つめて過ごした時間が集約されているような、そういう表現ができるアートが良いなと思います。

僕が営利目的に絵をやろうとした瞬間、自分の内的な歯車が、機能しなくなって自分がズタボロになるような予感がします(笑)

 

 

───

(笑)

逆に「自己表現を建築でやりたい」と思う人が建築家志望には多いイメージですが。

 

ARchitecTK2

そうですね、確かに多いです。

極端な話、僕は自分の命の半分くらい注ぎ込んだような、自己犠牲の上に出来た建物には、他人ではなく自分で住みたい。自分が使いたい。って思っちゃうんです。きっと所有欲が強いのかもしれないですね。

「自分が好きなように設計したい」という欲望も勿論ありますが、いわゆる「美味しい仕事」ばかりだったら、僕は満足はできないかなと思います。

 

同じように絵も、絵によって上下をつけるのも難しいし、値段を一律にしても良いかと迷ったんです。

だんだん絵が売れるようになって値段も上がっていったのですが、「自分の手元に留めておきたいな」と思う作品を高価格にしています。

もちろんどれも精一杯描いてますが。。

描いてからちゃんと時間が経って、沢山完成系と向き合った作品は、徐々に値段を下げようかなと思っています。

一生懸命描いたものがすぐ手元からなくなってしまうのが寂しいんですよね(笑)

 

───

絵の値段は難しいですよね。

thisisgalleryにも、初めて自分の作品を販売する方、初めて作品を買われる方、両方から値段に関する問い合わせをよく頂きます。

誰も価値を見出していない物を、自分で売る訳ですから、売る方も買う方も戸惑いがあって当然です。

作家によって「そもそも売りたくない」とか、「売ってもいいけど100万」とか、逆に「無償でいいから誰かにもらって欲しい」とか、作品に対する価値感や扱いの違いにいつも悩まされます。

ARchitecTK2 さんの作品販売のあり方は、物を作って売ることを日々仕事にしている方ならではというか、動機がとても純粋で素晴らしいと思いました。

 

ARchitecTK2

僕は本業の建築であくまで生活が成り立っているので、作品を売らなくても生きていけるっていうところが大きいかもしれないです。

アートに使っている時間を、建築に注ぎ込んだ方がキャリアアップに繋がるかもしれないのですが。

 

ただ、病気になった時に「これで人生が終わるのかもしれない」と思ったら、なんだか「自分らしさは何もないな」と思ってしまいました。

普通に受験して、滑り止めの大学に入って、建築を頑張って。

建築をやったけど過労で倒れちゃったし。

振り返ると、状況にしか動かされていない感覚がしたんですよね。

 

スティーブ・ジョブズの「明日死んでもいいつもりで毎日を生きる」というような内容の有名な言葉がありますが、僕は「今日死んでしまったら満足感は何もないな」と病気になった時に思いました。

その答えにすぐ辿り着かなくて、色々な哲学の本を読んだり絵を見たりしました。

 

 

───

すごい量(笑)

一冊一冊聞いていくと日が暮れてしまうと思うので…(笑)

特に自分のターニングポイントとなったような本を教えていただけますか?

 

ARchitecTK2

ある程度病気が回復してから本を読めるようになって、その時に救われたのがこの7冊。

一番読んだのがこの本ですね。

 

 

一年ぶりに会社に出勤する電車の中で、心拍数がすごくて、バクバクで。

しんどさがピークになった時に、付箋を貼っていた箇所を何回も読み返して気持ちを落ち着かせ、奮い立たせていました。

著者の中島義道氏は「戦う哲学者」と言われていて、僕の何十倍もしんどい人生を送っていたような人なんですよね。

ニーチェの運命愛について説いていて、「最悪な状況に陥った時、状況に陥るまで、いかに自分が加担していたか改めて考えてみろ。自分で選び取った道だと思えれば、少しはその暗闇を直視できるだろう」という事を言っています。

病気になって自分の弱い一面がみんなにバレてしまったけれど、そのお陰で今は、充実した仕事と仲間に巡り会えているんですよね。

暗闇でも目を凝らすと、少しでも明るい方角がわかるというか。暗い暗いって嘆くより、だいぶマシだと。。

この本を読んで、自分が向く方向を意識することで救われた部分が大きいです。

 

───

その大きい本は何ですか?

 

 

ARchitecTK2

建築家で好きな伊丹潤という人の本です。

 

───

すみません、ちょっと個人的な興味が爆発しています(笑)

読み始めると止まらなそうなので…

マーク・ロスコは絶対ご存知だろうなと思っておりました。

 

ARchitecTK2

読み通りですね(笑)

 

───

ARchitecTK2 さんはどんな作家に影響を受けて、どんな作家になっていきたいとか、ありますか?

 

ARchitecTK2

「こういう人になりたい」というのはないですね。

ただ、南アフリカのライオネル・スミット(Lionel Smit)という彫刻家が作った、顔がちょっと欠けた女性の青い伏し目の彫刻がたまらなく好きです。

 

 

強く惹かれて、ずっとその人のページを見ていたんですけれど、それがめちゃくちゃ高いんですよ(笑)

今イギリスでかなり評価され始めているのですが、基本数百万するんですよね。

ボーナス我慢しても無理だな」みたいな(笑)

 

鬱病真っただ中の時は、何の意欲も湧かなかったので、「どうしようもなく好き!!」とか「これ欲しい~」とか気持ちが動いてもらえるようなアーティストになりたいですね。

 


 

talk.5
絵を通して生まれた出会い

 

───

ご自身のコラムの中で「絵を買ってくれる人の存在が大きい」ということを書いていらっしゃいましたが、これまで作品販売を通して、印象深いエピソードはありますか?

 

 

ARchitecTK2

病気になる前に関わっていたプロジェクトでは、僕の力不足もあり、色々な人の意見が膨大すぎて、最適解を見つけることだけで、やっとひと段落つくような感じでした。

自分がいいなと思うインテリアや空間を反映できないし、自分の感性をかなりズタボロにされましたね。。

それで会社を休んでいる間に絵を描き始めて、自分の感性のままにバーっとアウトプットして描きためて。

置場所がなくなったから絵を売ってみよう」と思ったのがそもそもの始まりでした。

 

───

そんなきっかけだったんですね。

 

ARchitecTK2

絵を公開し始めたら、お金を払って、絵を通して僕の感性を肯定してくれる人と出会えたことが、とても嬉しかったです。

遠方で買ってくる方が多いので直接お礼を言うことはできないのですが、いつもメッセージを手書きで書いて、ポストカードも同封しています。

大きめの絵をカスタムオーダーでお願いされた時に、たまに直接納品に伺うことがあります。

完成した作品をあらかじめ見せていないので、かなり納品前は心臓がバクバクです(笑)

あまり薄っぺらい付き合いにはしたくなかったので、注文のページに、「今まで生きてきて大事にしていることや人となりを教えてください」って書いてあるんです。

 

依頼人が六本木の一等地のタワーマンションの高層階に住んでいる方で、「成金みたいに住んでいるようにも見えるかもしれないけれど、金融という見えないものに対して一生懸命働いていて、満足はしているんだけど何か自分の手応えとしてのモノがなく、スカスカで虚しくなる時もある。そういう時に自分自身を取り戻したり、勇気付けられたりしたい。」とおっしゃっていて。

 

絵がなければ出会わなかった人と、自分の奥底で大事にしていることを話すという経験がとても嬉しかったです。

友達同士でも気恥ずかしくて話せないような深い話をする機会を絵が生んでくれたので。

それが、絵を続けていきたいなと思ったエピソードです。

 

───

自分と向き合うために始めた絵が、色んな人との出会いに繋がって…

とても良いエピソードで感動しました。

今回の作品に込めた思いを教えて頂けますか?

 

ARchitecTK2

今回は再起を図る人にメッセージを届けたいと思いました。

会社を休まないようにギリギリの崖っぷちを歩いている時も十分大変なのですが、一度転げ落ちちゃってから、もう一度立ち上がる時が自分としては一番辛かったです。

そういう時にちょっとでも背中を支えるようなメッセージを発信したい、かつての僕のように全てをシャットアウトをしたくなるような人の手助けになるような作品になればと思っています。

なので明るいパワフルな絵ではなく、悲壮感漂う全体に僅かながら抗う美しさを表現しました。

今にも生命力が途切れそうな青白い手が、服の裾を握ろうとしている具象画の上に、金と銀の細線で全体を描画してます。

イメージとしては、銀が上からのしかかってくるプレッシャーのような肩ひじ張るような空気感で、それに少しでも抗う黄金の細線が、握りこぶし近くに少しだけ上向きに描かれています。

 

 

ARchitecTK2 さんの他の作品は、thisisgalleryのアーティストページからもご覧頂けます。

>> ARchitecTK2 アーティストプロフィール|thisisgallery

 

thsisimediaでは、今後も様々なアーティストをご紹介します。

作家さんの想いや制作の裏側を知ることで、作品の魅力をより感じて頂けたら嬉しいです。

皆さんもぜひ、気になる作家さんのHPやSNSをチェックして、実際の作品に触れてみてくださいね。

 

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