葛飾北斎「神奈川沖浪裏」が過去最高額の3億6000万円で落札、第14回アジア・ウィーク・ニューヨーク
2023年3月21日、第14回アジア・ウィーク・ニューヨークで行われたクリスティーズのオークションで、葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」が約3億6000万円で落札されました。
今回出品された作品は、コレクターから特に人気のある初期の浮世絵であったことから、当初の予想額を大きく上回り、北斎作品の中での過去最高額を記録。
中国からのアメリカへの入国検疫免除により旅行者が増加し、オークション全体の総額も1億3170万ドル(約175億5900万円)と、パンデミック以前のような好記録を残しました。
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第14回アジア・ウィーク・ニューヨーク
3月末に行われた「第14回アジア・ウィーク・ニューヨーク」には、26のギャラリーと6つのオークションハウスが参加。
クリスティーズ、サザビーズなどのオークションハウスは、対面とオンライン販売を実施しました。
全9日間の開催期間で、22のギャラリーと5つのオークションハウスが、合計1億3,170万ドル(約175億5900万円)の売上を記録しています。
過去の3回の売上総額は、
2017年 4億2370万ドル(約564億9,022万円)
2019年 1億5,050万ドル(約200億6,550万円)
2022年 9,860万ドル(約131億4,500万円)
となっており、パンデミック以前のような購買意欲が徐々に戻ってきている印象。
アジア・ウィーク・ニューヨークの委員長であるデッサ・ゴダード(Dessa Goddaed)氏は、世界的な旅行者の増加によるものだとコメントしています。
世界中のアート関係者やアートコレクターの海外旅行が増えています。
今回のオークション結果は、アジア・アートの分野において、ニューヨークが強力な磁石となっている場所であることを改めて証明しました。
今回のアジア・ウィーク・ニューヨークは、渡航禁止措置が解除されてから初の開催となりました。
特にアメリカは中国からの渡航者に対する検疫免除を認めたことで旅行者が一気に増加し、売上の大きな要因になったと考えられます。
3億6,000万円で落札された葛飾北斎「神奈川沖浪裏」
今回、アジア・ウィーク・ニューヨークの目玉商品であった葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」は、クリスティーズのオークションで3億6,000万円で落札しました。
「神奈川沖浪裏」は、葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」のうち、富士山を背景に東京近海の荒波と船乗りを描いたもの。
北斎が経済的に困窮していた1830〜32年に制作を開始し、19世紀半ばにヨーロッパへ版画が渡りました。
制作された版画の総数は不明で、現存している枚数も分かっていません。
クリスティーズの責任者によると、当初の予想額を大きく上回り、北斎作品の中では過去最高額に達したとのこと。
また、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この浮世絵には当初、50万ドル(6,660万円)〜70万ドル(9,330万円)の値がつくと予想されていましたが、6人の入札者が13分間の争奪戦で価格を一気につり上げたとのことです。
北斎の近年のオークション記録としては、2021年に同じく「神奈川沖浪裏」の浮世絵が予想額15万ドル(2,000万円)に対して、159万ドル(2億1,998万円)で落札されています。
初期の浮世絵は希少価値が高い
今回出品された浮世絵が予想額を大きく上回った要因として、この作品が初期に刷られたもので、保存状態も良好だったことが挙げられます。
北斎の浮世絵の中でも特に人気があるのは初期のもので、希少価値が高く、コレクターからの人気が年々高くなっています。
初期の浮世絵はまだ木版が摩耗しておらず、線が鮮明で、ピンク色の空に薄い雲がかかっているといった特徴があります。
今回出品された浮世絵は、1993年にデンマーク・日本協会が主催したコペンハーゲンでの展覧会に出品されたもので、1830〜1832年の間に制作された18点のうちの1枚と云われています。
海外旅行者や海外を行き来するアートコレクターの増加により、パンデミック以前のような盛り上がりを見せるアート市場。
今後の動向にも目が離せません。
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