ART

曜変天目の「原寸大ぬいぐるみ」に予約殺到!静嘉堂@丸の内で販売

2022年10月1日に世田谷から丸の内へと移転オープンした静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)。

移転オープンに向けて新しく企画開発されたのは、国宝 曜変天目(稲葉天目)茶碗の「原寸大ぬいぐるみ」。

ぬいぐるみは美術館オープンの10月1日から5,800円で販売開始され、コアなファンを中心に、ぬいぐるみの画像がSNS上で拡散され、大きな話題となりました。

注文が殺到したため現在は予約停止中となっています。

 

あなたの部屋に合うアートは?
「アート診断」

Q1.希望の価格帯は?

Q2.気になるジャンル・モチーフは?

国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
23件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
30件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
34件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
55件見つかりました!
診断をやり直す

静嘉堂文庫美術館の曜変天目(稲葉天目)

東洋古美術を中心に、約6,500件ものコレクションを誇る静嘉堂文庫美術館は、三菱財閥の2代目総帥・岩崎弥之助と4代目の岩崎小弥太によって築かれました。

当コレクションの中で最も有名な作品が、「曜変天目(稲葉天目)」茶碗です。

曜変天目は、南宋時代(12~13世紀)に中国で作られた黒釉茶碗で、焼成時の釉薬の変化によって生み出される宇宙を感じさせるような斑紋が最大の魅力です。

現存している完成形は世界で3つしかなく、いずれも日本(静嘉堂文庫美術館蔵、大徳寺龍光院蔵、藤田美術館蔵)にあり、国宝に指定されています。

 

斑紋が大きくはっきりとした稲葉天目

その中でも静嘉堂@丸の内の稲葉天目は、斑紋が大きく、はっきりと現れているのが特徴です。

所有者を辿っていくと、徳川将軍家から徳川家光、その後家臣の稲葉家に贈られるなどして、1934年に岩崎小弥太が入手しました。

岩崎小弥太は「私ごときが使うべきでない」として、一度も茶碗として使用することはなかったといいます。

 

国宝を手に取る擬似体験「ほぼ原寸大のぬいぐるみ」

曜変天目 ぬいぐるみ

2022年10月、静嘉堂文庫美術館は東京都世田谷区岡本から千代田区丸の内の明治生命館へ移転。「静嘉堂@丸の内」として新たにオープンしました。

10月1日のオープニング記念展に合わせて「ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ」を制作し、ミュージアムショップで5,800円で販売開始されました。

この商品を企画したのは、ミュージアムグッズのデザインや製造などを手がける株式会社East。

同社の開永一郎代表いわく、本物の国宝茶碗を手に取る疑似体験ができるようなことを考え、ぬいぐるみという案に至ったそうです。

 

茶碗を柔らかい布で再現

開永一郎代表によると、陶芸で完全に本物と似たようなものを制作するのは難しかったため、陶磁器とは正反対の柔らかい布で制作することに。

原寸大の立体を作ることで、それを手にとる喜びと本物を思う想像力、その両方が満たされると考えたそうです。

 

器の外側の釉薬が垂れた部分は、ぬいぐるみに膨らみをつけることで再現されています。

また、内側の斑紋や光彩の煌めきを再現するため、印刷用のデータを加工し、光の反射部分を残した結果、柔らかい布に光沢感が生まれたそうです。

器の重さも再現したかったが、安全かつ大きさに影響しない重りを見つけるのが難しかったといいます。

 

発売直後から注文が殺到

ぬいぐるみは、試作に数カ月を費やしようやく完成。

試作品を披露した際、手にした人たちがまるで本物の茶碗を持つように、割れないように手で包むように持ってくれたという驚きのエピソードがあります。

開永一郎代表は「自然にそうなることを見て、これはすごいなと感じた。制作を思いついたときは、みんながこうやって持つとは思わなかった。この反応が本当に全てだった」と当時のことを語っています。

 

ぬいぐるみは日本国内で一つずつ手作りされており、在庫にも限りがあったため、事前の宣伝は控えていました。

しかし、販売直後からSNSで話題となり、注文が殺到したため現在は予約停止中となっています。

 

ぬいぐるみに込めた想い

丸の内へ移転する前、静嘉堂文庫美術館は世田谷の閑静な緑地で、正統派の東洋美術を展示していたため「コアな日本美術・骨董好きが通う美術館」というイメージがついていました。

そこで、都心のオフィス街への移転を機に「気軽に楽しめる美術館」を目指し、ミュージアムショップのグッズに親しみやすさを込めようと考えました。

グッズの開発段階から関わった美術館の安村敏信副館長は、以下のようにコメントしています。

静嘉堂文庫美術館をお土産で覚えてもらうとか、(ミュージアムグッズに)そんなニュアンスが必要じゃないかと考えていた。

面白いと思っていたが、ここまでの反響は想像できなかった。

ショップで面白いものを見つけてもらう。これも美術館にとって大事なことだと思う。

グッズを新しい楽しみ方にしたい。

 

今後も美術館の魅力を発信するため、新しいグッズを制作予定とのことです。

 

開館記念展「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」

ぬいぐるみは、開館記念展が終わる前に予約販売の再開を目指しており、予約受付の再開は公式HPから発表されるとのこと。

ショップには見本が置かれているので、実際に手に取ることもできます。

本物の曜変天目は、開館記念展「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」で見ることができるので、ぜひこの機会にチェックしてみてください(〜12月18日まで開催)。

静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―

会期:2022年10月1日(土)〜12月18日(日) 
展示替えあり(前期:10月1日~11月6日、後期:11月10日~12月18日)

住所:東京都千代田区丸の内 2-1-1 明治生命館1階

開館時間:10:00-17:00(金〜18:00)※入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜日、11月8日、11月9日

料金:

一般 1500円
大学生・高校生 1000円
中学生以下 無料

公式HP:https://www.seikado.or.jp

 

 

関連記事

2022年9月開催のおすすめ展覧会「アンディ・ウォーホル・キョウト」「イッタラ展」など

2022年9月に開催する展覧会の中から、thisismedia編集部がおすすめの展覧会をお届け。 関東エリアではBunkamura ザ・ミュージアムで開催される「イッタラ展」。箱根のポーラ美術館「ピカソの青の時代」展など。 関西エリ

ゲルハルト・リヒター生誕90周年を記念する展示がドイツで開催中!

ドイツが生んだ現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒター。 2022年2月9日で90歳になるリヒターは、その作家活動も60年目を迎えます。 リヒターの故郷ドイツで、彼の生誕90周年を祝した展覧会が複数開催されています。 日本で

即位70周年!エリザベス2世の有名な肖像画・ポートレイトを年代順に振り返り

2022年に在位70年を迎えたイギリス君主、エリザベス2世。 彼女は世界で最も有名な女性の一人であり、紙幣や切手をはじめ、あらゆる媒体に彼女のポートレイトが掲載されています。 しかし、エリザベス女王の性格や人物像を知る人は限られ

ジャクソン・ポロックの「Number 31 (1949)」が5月のオークションに出品、予想落札価格は約57億円

世界三大オークションハウスのクリスティーズは、2022年5月12日にニューヨークで開催されるオークションで、ジャクソン・ポロックの抽象画が出品されると発表しました。 今回出品されるのは「Number 31 (1949)」というタイ

イワミズアサコ(ASAKO IWAMIZU)さんインタビュー|布で描く「キメコミアート」の世界

こんにちは!thisismedia編集部の武田です。 アーティスト、クリエイターなど自分の「好きなこと」を仕事にしている作家たちの「想い」を伝える連載インタビュー。 今回は、廃材の布を用いたオリジナル絵画「キメコミアート」の制作を行

TOP