SANAA建築建築家
CULTURE

SANAAとは?妹島和世・西沢立衛の経歴と代表的な建築作品を詳しく紹介

曲線やガラスなどを用いた開放感のある、そして、周囲の環境に溶け込むような建築を数多く手がけ、国際的に活躍する日本人建築家ユニット「SANAA」。

金沢21世紀美術館など、彼らの作品を実際に目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

プリツカー賞、日本建築学会賞、金獅子賞など数多くの賞を受賞し、国際的に高く評価されているSANAA。

今回はSANAAのこれまでの活動歴と、代表的な建築作品について詳しくご紹介します。

 

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「SANAA」とは?

妹島和世、西沢立衛による建築家ユニット

SANAA(Sejima and Nishizawa and Associatesの略)は、妹島和世西沢立衛による建築家ユニットです。

1995年に設立し、現在はパートナーを含む計5名で主に活動しています。

 

曲線とガラスを多用した開放的な建築が特徴で、その活動範囲は展覧会をはじめとする空間構成、家具デザイン、さらには集合住宅など多岐にわたります。

国内外で様々な建築を手がけており、プリツカー賞、日本建築学会賞、金獅子賞など、国際的な栄誉ある賞も多数受賞しています。

 

SANAAのメンバー

妹島和世 

妹島和世(せじま かずよ、1956年生れ)は茨城県出身の一級建築士です。

1981年に日本女子大学大学院を修了し、伊東豊雄建築設計事務所に入所。

1987年に「妹島和世建築設計事務所」を設立しました。

 

翌年には建築家の登竜門として知られる新人賞・吉岡賞を受賞し、2005年には「梅林の家」(下)と名づけられた個人邸で日本建築対象を受賞しています。

 

妹島氏が設計において大事にしているのは「内と外の一体感や繋がり」です。

最近では、彼女が設計を手がけた「すみだ北斎美術館」(東京都墨田区)が2016年に開館しています。

 

西沢立衛

西沢立衛(にしざわ りゅうえ、1966年生れ)は1990年に横浜国立大学大学院修士課程を終了。

1995年に妹島氏とSANAAを設立しました。

1997年には西沢立衛建築設計事務所を設立し、1999年には妹島と同じく、専用住宅の設計で吉岡賞を受賞しています。

 

個人としての活動は主に専用住宅が多く「住むことの楽しさ、使うことの喜び」を感じられるような設計を目指しているそう。

西沢は十和田市現代美術館、豊島美術館、軽井沢千住博美術館(上)といった、美術館の設計も多く手がけています。

 

棚瀬純孝(パートナー)

棚瀬純孝(たなせ よしたか)は1995〜2003年まで妹島和世建築事務所に所属しており、2003年からはSANAAの取締役に就任しています。

また、棚瀬純孝建築設計事務所を設立し活動しています。

 

棚瀬は、西武鉄道の特急系列車「Laview(ラビュー)」(上)のデザインコーディネーションとグラフィックデザインを担当し、2019年にグッドデザイン賞を受賞しています。

 

ユミコ ヤマダ(パートナー)

ユミコ ヤマダは、SANAAのパートナーとしてルーブル美術館の別館「ルーヴル・ランス (Le Louvre-Lens)」のプロジェクトディレクターを務めたほか、スイスの「ロレックス ラーニングセンター」でSANAAをコンペから完成まで率いました。

彼女はSANAAでの活動に加え、アメリカ、イスラエル、韓国、スイス、日本の大学でゲスト講演なども行っています。

 

山本力矢(パートナー)

山本力矢(1977年生れ)は、2002年に横浜国立大学大学院を終了し、2013年からSANAAのパートナーに加わりました。

大学在学中に初めて購入した建築専門雑誌『新建築』に掲載されていたSANAAのマルチメディア工房に衝撃を受け、建築に興味を持ったそう。

その後SANAAのメンバーとして、様々な作品に携わっています。

 

SANAAの受賞歴

日本建築学会賞作品賞(1996、2006)

日本建築学会賞とは、一般社団法人日本建築学会が設けている歴史ある建築の賞です。

論文、作品、技術、業績の4部門からなり、SANAAが受賞したのは、近年に施工された優れた建築に贈られる作品賞です。

 

SANAAは2度受賞しており、1996年には岐阜県立国際情報科学芸術アカデミーマルチメディア工房、2006年には金沢21世紀美術館で受賞しています。

 

第9回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 金獅子賞(2004)

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展とは、イタリアのヴェネチアで2年に1回開催される、世界46カ国が参加する建築界のオリンピック的な賞です。

2004年に、金沢21世紀美術館(上)でグランプリにあたる金獅子賞を受賞しています。

 

プリツカー賞(2010)

プリツカー賞は、アメリカのホテルチェーン「ハイアットホテルアンドリゾーツ」のオーナーであるプリツカー一族が運営する「ハイアット財団」から、建築家に贈られる賞です。

「建築を通じて人類や環境に意義深い貢献をしてきた存命の建築家」を対象に、1年に一度表彰されます。

 

「建築界のノーベル賞」と例えられることもあるこの賞を、妹島和世と西沢立衛はSANAAとして2010年に受賞しています(上)。

妹島は女性として史上2人目、日本人女性としては初のプリツカー賞受賞者となりました。

 

毎日芸術賞(2005)

毎日新聞社が1959年から主催している毎日芸術賞は、文学、演劇、音楽、美術などの分野で、その年に活躍した人に贈られる賞です。

2005年、金沢21世紀美術館で第46回目となる毎日芸術賞の建築部門を受賞しています。

 

銀の定規賞(2013)

銀の定規賞は、フランスで1983年から続く歴史ある建築賞で、建築家と建物のオーナーに贈られます。

審査員会は建築家、建築評論家、ディベロッパーからなり、受賞作品はフランスの雑誌『Moniteur des travaux publics et du bâtiment』で発表されます。

2013年、ランス・ルーブル美術館分館(上)で銀の定規賞を受賞しています。

 

SANAAの代表作品

熊野古道なかへち美術館(1995~1997)

熊野古道なかへち美術館は、和歌山県の熊野古道中辺路にある公立美術館です。

床や天井は白を基調とし、外と中を隔てる壁は全面ガラス窓で構成されています。

そのため中からは周りの木々や山が一望でき、屋内にいることを忘れるほどに外と中の一体感を味わえます。

自然の中に映える、印象的なSANAAの初期代表作です。

 

岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー・マルチメディア工房(1997)

マルチメディア工房は、国際情報科学芸術アカデミー(通称:IAMAS)の校舎として設計されました。

建物全体の半分ほどが地面に埋まっており、また、背の高い部屋は建物の背面に設置されているため、ボリューム感や圧迫感が抑えられています。

完成した当時から大きな話題となり、1998年には日本建築学会賞作品賞を受賞しています。

 

飯田市小笠原資料館(1999)

飯田市小笠原資料館は、長野県飯田市の旧小笠原家書院に隣接する資料館です。

逆S字の形をした全長80mの箱を、6本の柱だけで地上から浮かせたデザインが特徴的です。

 

資料館の中には妹島和世がデザインしたチェアがあり、そこに座って大きなガラス窓から外を望むと、旧小笠原家書院を眺めることができます。

 

ディオール表参道(2003)

白いドレスをまとっているかのようなデザインが美しいディオール表参道店。

夜になると、建物の内部から漏れる光によって、昼とは違う建物の表情が浮かび上がります。

ガラスの内側にドレープ状のカーテンを設置し、二重構成にしたことで幻想的デザインを実現しました。

Diorのエレガントかつクラシカルなイメージを建築で表現しており、ブランドの広告に相応しい建築です。

 

金沢21世紀美術館(2004)

2004年に開館した、金沢21世紀美術館

金沢市の中心部に位置し、誰もがいつでも立ち寄ることができる公園のような美術館を目指すこの美術館には、どこからでも人々がアクセスできるよう円形デザインと、表と裏のないガラスのアートサークルが採用されました。

 

トップライトや庭など、明るさや開放感も細かく配慮され、夜間開館や建物内のショップやレストランもあり、まさに建物が街と一体となったデザインです。

 

ツォルフェライン・スクール(2006)

ツォルフェライン・スクールは、ドイツのエッセンにあるデザイン学校です。

周辺にはツォルフェアアイン炭鉱業遺産群があり、巨大な建物が多く残るこの場所に調和するようなデザインが特徴的です。

無数の窓から差し込む光によって、同じフロアでも場所によって明るさが異なり、建物の窓から外を覗くと切り取られたような風景を楽しめます。

 

海の駅なおしま(2006)

フェリーを待つ人でにぎわう道の駅なおしまは、文化・芸術の島と言われている直島町の港に建つ、フェリーターミナル駅です。

水平に伸びる大屋根の下に、ガラスで仕切られた観光案内所、イベントホール、待合室などが設けられています。

海から見ると水平の屋根が目印となり、島のシンボルとなっています。

 

ノバルティスキャンパス WSJ-158(2006)

スイス、バーゼルにあるノバルティスキャンパスは、多国籍製薬企業ノバルティスの施設です。

不要な物が一切そぎ落とされ、シンプルかつ大胆なオフィスブロックに仕上げられています。

全面ガラス張り構造からは、SANAAの境界線を作らないというコンセプトが窺えます。

 

ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート(2007)

ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アートは、ニューヨーク・マンハッタンにある、現代美術専門の美術館です。

箱をずらして積み重ねたようなデザインが印象的です。

各フロアの境界に出来たスペースのトップライトから自然光が入る仕組みになっており、テラスとしても利用できます。

屋上からはマンハッタンを一望することができます。

 

デレク・ラム・ショップ,ソーホー(2009)

ニューヨークのソーホーにあるデレク・ラム・ショップ

店内には、靴やドレスのコーナーなどがあり、SANAAはアクリルパーテーションを用いて、柔らかくカーブしながらそれぞれの空間を作り出しました。

シンプルな空間の中にアイテムの存在感が際立ち、窓から差し込む太陽光が洋服に彩りを添えます。

 

スイス連邦工科大学ロレックス・ラーニングセンター(2010)

スイス連邦工科大学ロレックス・ラーニングセンターは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のキャンパス内に建設された学習施設です。

巨大な建物は緩やかなカーブを描いており、所々に開いた孔には同線や採光の役割があります。

生徒たちがどこでも自由にくつろげるよう、内部には仕切りが一切無く、丘のような一つの広い空間になっています。

 

ランス・ルーブル美術館分館(2012)

フランス北東部にあるランス市が鉱山地帯を利用した一大都市開発事業として、ルーブル美術館の分館「ランス・ルーブル美術館」を計画、その設計者としてSANAAが抜擢されました。

 

自然の地形に沿って緩やかにカーブするアルミパネルの外壁は、その環境に柔らかく馴染むように設計されました。

洗練された美しい建物は、フランク・ゲーリーが手がけたビルバオ・グッゲンハイム美術館と並び称されるほどです。

 

建物内もガラス張りのエントランスホールや、仕切りのない展示空間など、本館とは一味違った空間でルーブル美術館の作品を鑑賞できる新たな観光スポットとして人気を集めています。

 

「SANAA」のおすすめ関連書籍

妹島和世+西沢立衛読本

妹島和世と西沢立衛に長期的なインタビューを行い、1998年以降の作品と、現在に至る建築へのこだわりや活動の日常が記録された作品です。

二人が共に協力し成し遂げた建築作品を振り返りながら、一つ一つ違う建物への真意を知ることができます。

世界で活躍する2人の考え方も知ることができ、読み応えのある一冊です。

妹島和世+西沢立衛読本―2013

3,080円 (税込)

 

GAアーキテクト 妹島和世 西澤立衛 SANAA

1987年の初期作品から「ルーブル・ランス美術館」までの建築作品の図面やスケッチに加え、二川幸夫が撮り下ろした写真と、西沢立衛による序文で紹介されています。

SANAAを知る尽くすことができる、ボリュームのある写真集です。

GAアーキテクト 妹島和世 西沢立衛 SANAA 2011-2018(GA ARCHITECT KAZUYO SEJIMA RYUE NISHIZAWA SANAA 2011-2018)

6,490円 (税込)

 

まとめ 

今回は建築家ユニットSANAAが生んだ名建築を解説しました。

近代的かつシンプルでありながら、環境に柔らかく馴染み、人々に寄り添う建築で世界の人々を魅了するSANAA。

彼らこだわりや魅力を知った上で見る建築は、さらに素晴らしく感じることでしょう。

ぜひ皆さんもSANAAの手がけた建物を実際に訪れてみてください。

 

 

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