ゴッホの作品を所蔵する日本の美術館14選
ゴッホの作品が見れる
日本の美術館・アートスポット
世界的に有名な絵画の巨匠、フィンセント・ファン・ゴッホ。
ゴッホは生前数多くの作品を残しましたが、鑑賞できるのは海外の美術館ばかり…というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、ゴッホの中で最も有名な作品と言われる「ひまわり」も国内の美術館で常設展として鑑賞することができます。
他にも意外と知られていませんが、ゴッホの作品が展示されている美術館が国内にはたくさんあります。
今回はそんな日本全国にある、ゴッホの絵画が見られる美術館をご紹介します。
数多くの謎に包まれるゴッホの生涯を絵画を通じて味わってみてください。
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1.山形美術館
山形
「雪原で薪を集める人々」
1884年
画家を志す前にベルギー南部の炭坑で伝導師として働いていたゴッホ。
そこで出会った労働者や農民の姿はゴッホ作品制作に大きな影響を与えました。
本作も見渡す限りの雪原の中、たくさんの薪を背負って歩く農民の姿が描かれています。画面左に描かれた真っ赤に燃えている夕焼けからは、今にも夕日が沈もうとする時の流れを感じることができます。
また、農民や田舎の風景をテーマとした作品は、ゴッホが敬慕していたジャン=フランソワ・ミレーの作品からも影響を受けていると言われています。
山形美術館ではジャン=フランソワ・ミレーをはじめとして、パブロ・ピカソやクロード・モネといったフランス画家の作品を多く鑑賞することができます。
山形美術館
開館時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)休館日
毎週月曜日、12月28日~1月3日入館料
一般 500円 高大生 300円 小中生 100円
2.諸橋近代美術館
福島県
「座る農婦」
1884-85年
「座る農婦」はジャン=フランソワ・ミレーの作品のテーマである、農民や田舎の風景から強い影響を受け、1884-85年頃にゴッホが描いた作品です。
硬い表情でこちらを静かに見つめている農婦。その固く結んだ手やその面持ちからは、農婦が絵のモデルをしていることに対する緊張が感じられます。
全体的に暗い色合いの作品から、決して楽ではない農民生活の苦悩も伺うことができます。
諸橋近代美術館ではゴッホの本作だけでなく、サルバドール・ダリの作品が約350点も展示されているなど、ダリの常設作品が有名な美術館となっています。美術館に訪れた際はぜひそちらもチェックしてみてくださいね。
諸橋近代美術館
開館時間
9:30-17:30(※入館は17:00まで)休館日
2019年度の公開期間:4月20日〜11月24日
※2019年5月21日、6月24日〜7月12日は展示替え休館。入館料
一般 950円 高大生 500円
3.笠間日動美術館
茨城県
「サン=レミの道」
1889-90年
こちらの作品はゴッホがサン・レミの精神病院に入院した頃に描かれた作品です。
ゴッホの特徴である、うねるようなタッチで描かれており、画家の精神の鼓動が感動的に伝わる作品となっています。
本作が展示されている笠間日動美術館は創設者・長谷川仁が付き合いのあった画家たちから譲り受けた数々のパレットが一堂に展示されている展示スペースがあるなど、フォトジェニックな美術館として知られています。
ミュージアムショップでは地元商品とコラボしたアルコールが売られているなど、他の美術館では味わえない一風変わった商品を楽しむことができます。
常設展もゴッホの他にも、ルノワールやドガ、スーラ、ウォーホル、といった有名画家の作品が揃えられているなど、みどころ満載の美術館となっています。
笠間日動美術館
開館時間
9:30~17:00(入館は16:30まで)休館日
月曜日(祝日の場合は開館し、その翌日が休館)、年末年始入館料
一般 1000円 高大生 700円
4.ブリヂストン美術館
東京
「モンマルトルの風車」
1886年
ゴッホが「モンマルトルの風車」を描いたのは1886年、アントワープを去ってパリに着いた頃でした。
ゴッホはモンマルトルの丘の中腹に新たにアパルトマンを借り、弟のテオとふたりで生活を始めます。そのアパルトマンのすぐ近くに「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」というダンス場があり、この作品はそのダンス場の裏手から見た光景が描かれています。
10年ほど前にルノワールが描いた華やかな同じダンス場の雰囲気とは違い、ゴッホの侘しさが表現されています。
本作が展示されているブリジストン美術館は印象派と近現代美術が豊富に揃えられており、常設展だけでなく、年に1回のペースで大規模な企画展が行われることも特徴となっています。
さらにミュージアムショップではコレクションをもとにしたオリジナル商品や国内外から取り寄せられたグッズなどが豊富に取り揃えられています。
ブリヂストン美術館
*現在は新美術館建設のため休館中。2019年1月に新美術館がオープン予定です。
5.国立西洋美術館
東京
「ばら」
1889年
国立西洋美術館で展示されているこちらの「ばら」は、ゴッホが1889年頃から精神病のため入院していたサン=レミの精神療養院に咲くばらを描いたものです。
本作では最晩年の作品に特徴的な、激しく、うねるような筆づかいが感じられます。
国立西洋美術館ではゴッホだけでなく、クロード・モネ《睡蓮》やオーギュスト・ロダン《考える人(拡大作)》など、有名な西洋美術作品を多数所蔵しています。
ゴッホの作品と一緒に様々なフランス美術コレクションを見比べることができる贅沢な美術館です。
国立西洋美術館
開館時間
9:30~17:30
金曜・土曜日9:30~21:00休館日
毎週月曜日入館料
一般 500円 大学生 250円
6.東京藝術大学大学美術館
東京
「ガッシェ博士の肖像」
1890年
東京大学大学美術館に展示されている「医師ガシェの肖像」。
モデルとなったのはフランス・パリ近郊のオーヴェル=シュル=オワーズ在住の精神科医であった、ポール・ガシェです。
1890年3月にゴッホを初めて診察し、健康回復のために彼をオーヴェールに招きました。その2ヶ月後、オーヴェールに着いたゴッホはガシェ一家と親しくなり、創作意欲を失っていたゴッホは再び創作活動に励むようになりました。
7月末に自殺をするまでの間、ゴッホはオーヴェールの村の風景や村人などを80点を描いたと言われています。
東京大学大学美術館は大学に付属した美術館ではありますが、カフェテリアやミュージアムショップ、画材店などが入っているため、ゆっくりアート鑑賞を楽しむことができます。
東京藝術大学大学美術館
開館時間
10:00 ~ 17:00(入場は閉館の30 分前まで)休館日
開催期間中の月曜日入館料
展覧会により異なる
7.東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
東京
「ひまわり」
1888年
日本で最も有名なゴッホの絵として知られる「ひまわり」
同シリーズは1888年2月、パリから南フランスのアルルに移ったゴッホが親交の深かったゴーギャンの部屋をひまわりの絵で飾ろうと考え、制作されたと言われています。
世界的にも有名なこちらの名画が飾られているのは東京新宿区の損保ジャパン日本興亜本社ビルの42階。
「ひまわり」は87年、損保ジャパン日本興亜が、約53億円(当時の為替換算)で落札し、国内外で大きな話題となりました。
世界的に有名な作品ですが、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館では常設展としてひまわりを展示しているため、いつでも作品を楽しむことができます。
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
開館時間
午前10時から午後6時まで(入館は閉館30分前まで)休館日
月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)展示替期間入館料
展覧会により異なる
8.東京富士美術館
東京
「鋤仕事をする農婦のいる家」
1885年
ゴッホにとって重要なモチーフであった農民の暮らしが描かれている「鋤仕事をする農婦のいる家」。
敬愛するミレーからの影響が色濃く反映された作品となっており、大地に根ざして生きる農民のたくましさを力強いタッチと落ち着いた色調で表現しています。
本作が展示されている東京富士美術館は絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルまで幅広いジャンルの作品が揃えられた、世界各国の美術を堪能できる美術館です。
ゴッホの作品だけに留まらず、同じ時代を生きた画家たちの名画を味わってみるのも面白いのではないでしょうか。
東京富士美術館
開館時間
10:00~17:00(16:30受付終了)休館日
毎週月曜日(祝日の場合は開館。翌火曜日は振替休館)入館料
一般 800円 高大生 500円 小中生 200円
9.横浜美術館
神奈川
「医師ガシェの肖像(パイプを持つ男)」
1890年
東京藝術大学大学美術館に飾られている作品と同年に制作された同一の作品です。
ゴッホの主治医であったガシェを描いた作品で、美術品の熱心な愛好家でもあるガシェ医師はゴッホが描いた彼の肖像画を絶賛したと言われています。
本作品が展示されている横浜美術館は迫力のあるシンメトリーな外観と吹き抜けの開放的なグランドギャラリーが特徴となっており、のびのびと作品を鑑賞できます。
豊富な作品数もさることながら、多彩なワークショップを行うアトリエや、オリジナルグッズをはじめとして1,000種類のグッズが取り揃えられているミュージアムショップななど、見応え抜群の美術館となっています。
横浜美術館
開館時間
10時~18時(入館は閉館の30分前まで)休館日
木曜日、年末年始入館料
一般 500円 高大生 300円 中学生 100円
10.ポーラ美術館
神奈川
「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」
1888年
ポーラ美術館に展示されている本作の舞台、アルルはローマ時代からの歴史ある町であり、親交の深かったゴーガンと約2ヵ月間生活を送った思い出の土地です。
耳切り事件によって二人の共同生活は幕を閉じることになりますが、自然豊かなアルルで約15ヵ月間滞在し、ゴッホは約200点の油彩画を制作しました。
ゴッホはアルルをこのように述べています。
「ここの自然は並はずれて美しい。いたるところ完璧だ。空の穹窿と見事なブルー、太陽の輝きは硫黄が燃える青白い炎の色だ」
「アザミの花」
1890年
本作はゴッホが拳銃自殺する約1ヶ月前に描かれた作品です。
精神科医ガシェの治療を受けるため、オーヴェール=シュル=オワーズに移り住んでいたゴッホ。ガシェの励ましを受けながらゴッホはこの地で約70点の作品を制作し、その中で本作も制作されました。
テーブルや花瓶を区切る輪郭線は、日本の浮世絵版画の影響を感じることができます。
ゴッホはその1ヶ月後、自らの胸にピストルを発砲し、亡くなったと言われています。
「草むら」
1889年
本作も「アザミの花」同様、精神療養院に入院しながら描いた作品です。
病室の窓から見える風景や庭の草花や木々、病院近くのオリーヴ園、糸杉のある風景などが主なモチーフとなったと言われています。
奥行感が欠如し、平面的な画面になっている本作の表現からは、モネの描く「睡蓮」の連作といった20世紀絵画への接近をみることができます。
本作が展示されているポーラ美術館は、箱根の自然豊かな土地を活かした開放感のある造りが魅力となっています。
ゴッホの他にもクロード・モネやパブロ・ピカソといった名だたる画家の名画を鑑賞することができます。
ポーラ美術館
開館時間
9:00-17:00(入館16:30まで)休館日
年中無休(ただし展示替のための臨時休館あり)入館料
一般 1800円 シニア 1600円 高大生 1300円 小中生 700円
11.メナード美術館
愛知
「一日の終り(ミレーによる)」
1889-90年
メナード美術館にも同じく、ゴッホがサン=レミの精神病院に移り療養生活を送っていた頃に制作した、模写作品「一日の終り(ミレーによる)」が所蔵されています。
ゴッホは療養中に、多数のミレー作品を模写しました。この作品は、ミレーの複製木版画「一日の四つの時」のうち「一日の終り」を模写したものです。
精神病の悪化とともに絵の具の筆致が荒々しく渦を描くようになったと言われているゴッホ。この絵にもその特徴を見つけることができます。
画家人生を通してミレーに長く傾倒し、彼の主題や構図を借りながら独自の色彩・空間表現を模索したゴッホは、原作とは全く異なる自身の作品を完成させました。
メナード美術館には同時期に活躍した有名画家・彫刻家の作品が所蔵されているので、近くに寄った際にはぜひ足を運んでみてくださいね。
メナード美術館
開館時間
10:00~17:00(最終入館は16:30まで)休館日
月曜日(祝休日の場合は直後の平日)
展示替等による臨時休館、年末~1/1入館料
一般 900円 高大生 600円 小中生 300円
12.和泉市久保惣記念美術館
大阪府
「耕す人」
1883年
和泉市久保惣記念美術館には、ゴッホが初期に制作した作品が3点所蔵されています。
「耕す人」はゴッホ30歳の年に描いた作品で、ミレーの作品にヒントを得ています。敬虔なキリスト教徒として生まれ、画家のになる前は牧師として伝道活動を行っていたゴッホは、初期に労働者や農民を題材とした作品を多く残しています。
「耕す人」をはじめとする、労働者や農民を描いた作品はゴッホが晩年に到るまで描き続けたテーマの1つでした。
「紡ぎ車をくる女」
1883-84年
「機を織る人とベビーチェアの子供」
1884年
和泉市久保惣記念美術館は、大阪府和泉市にある市立美術館です。
美術館の他にも音楽ホールや茶室、創作教室、ギャラリーなどを併設する複合施設で、日本と中国の絵画、書、工芸品など東洋古美術を主に約11,000点所蔵しています。
国宝2点、重要文化財29点を所蔵する、日本でも有数のコレクションを持つ美術館なので、大阪観光の際にはぜひ足を運んでみてくださいね。
和泉市久保惣記念美術館
開館時間
10:00~17:00 (入場は16:30まで)休館日
月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)入館料
一般 500円 高大生 300円
13.ひろしま美術館
広島県
「ドービニーの庭」
1890年
ひろしま美術館に所蔵されている「ドービニーの庭」は、ゴッホ最晩年の1890年7月に制作された作品です。
「ドービニー」とはゴッホの敬愛した画家の名前で、ゴッホが最後に滞在したオーヴェル=シュル=オワーズのラヴー旅館の近くに彼の邸宅がありました。
1890年5月頃からゴッホはこの邸宅と庭を繰り返し描き、この作品と同じタイトルの作品が他に3作、同じ構図の作品がスイスのバーゼル市立美術館に所蔵されています。
ゴッホの死後、この作品は弟テオの手によってドービニー夫人に渡されましたが彼女の死後、数々の競売にかけられ1974年に広島銀行が落札し、ひろしま美術館の所蔵となりました。
この作品はゴッホが亡くなる7月29日の9日前、20日に描かれたと言われており、ゴッホの最終作である可能性もありますが確証は得られていません。
ひろしま美術館
開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)休館日
特別展開催時を除く月曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12/29~1/2)入館料
展示により異なる
14.ウッドワン美術館
広島県
「農夫」
1884-85年
「農婦」は、ゴッホが画家を目指しパリへ旅立つ前に描かれた初期の作品です。
ミレーに傾倒し、農民や労働者の習作を数多く制作したゴッホ。同じく農婦をモチーフとした作品は他に40点以上も確認されています。
「農婦」は1950年代に2度修復され、当初頭部にあった凹凸のある筆致は失われてしまいました。
1979年のロンドンのオークション以降所在不明になっていたこの作品は、2003年2月、日本のオークションに出品されファン・ゴッホ美術館の鑑定によって真作であると判明しました。
ウッドワン美術館
開館時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)休館日
月曜、展示替えの臨時休館日、冬期休館あり入館料
一般 1540円 高大生 820円
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