2020/08/08

アーティストキース・ヘリングポップアート   
   アート    

キース・ヘリングとは?代表作品から人生までを徹底解説!

アンディ・ウォーホルやジャン・ミシェル・バスキアなどポップ・アートを牽引する代表的な美術家の中に、キース・ヘリングがいます。

1890年代、ニューヨークの地下鉄構内で広告板に自発的に描いたグラフィティー・アートを始めた彼の作品は、ニューヨーク在住の通勤客の間で評判を呼び、ポップ・アートを語る上で欠かせない存在となっています。

なぜ人々は彼の作品に惹きつけられるのか、今回は彼の代表作とともに経歴や生涯を探求します。

キース・ヘリングとは?

ヘリングはストリート・アート、またグラフィティ・アートの先駆者であり、1980年代のアメリカのアートシーンを牽引する代表的な美術家の一人として知られています。

彼の取り上げる主題は「エイズ予防啓発」「LGBTの認知」「核放棄」「反アパルトヘイト」など社会的・政治的な問題をテーマとした作品を制作しています。チョーク・アウトライン形式(犯罪現場で被害者の位置を書き記しするための白い線)と呼ばれる方法で、シンプルで大胆な色使いの作風が特徴。

一見、ポップで華やかさが目立つ作風ですが、そこにはヘリング自身が同性愛者でありエイズ感染者として、現代社会に対する差別や暴力に警鐘を鳴らす彼の思いが込められています。

キース・ヘリングのアート表現

ヘリングが特に描いたモチーフとして、「Radiant Baby(光輝く赤ん坊)」「円盤」「犬を象徴するもの」などがあります。

代表的な作品として「Radiant Baby(光輝く赤ん坊)」は有名な作品です。「ラディアント・ベイビー」はキリスト教に由来しており、エイズや同性愛者など反社会勢力への抗議的なメッセージも込められています。作品には、シンプルなチョークアウトラインの中にも力強い生命力を放った作品です。

「Radiant Baby(光輝く赤ん坊)」

キース・ヘリングの経歴と代表作

幼少期・青年期

1958年、ヘリングはアメリカ合衆国のペンシルバニア州に生まれました。

父はエンジニア兼漫画家であったため、息子ヘリングが芸術へ興味を持つきっかけを与えた第一人者だとされています。母ジョアン・ヘリング、妹にケイ、カレン、クリステンがいます。1976年、アイビー・スクール・オブ・プロフェッショナル・アートに入学し、グラフィックデザインを専攻しますが、グラフィックへの価値が見出せなかったことで2学期で退学します。

その後はニューヨークへ移住し、スクール・オブ・ビジュアル・アーツでビデオアートやパフォーマンスアートなど様々なジャンルの作品を制作しながら可能性を探求しました。

サブウェイ・ドローイング時代

1980年、彼の芸術人生において、すべての始まりとなった地下鉄構内の黒い広告板に白いチョークで描いた、通称「サブウェイ・ドローイング」と呼ばれるパブリック・アートの制作でした。

彼は地下鉄で制作を開始するにあたり、巨大な建造物や自然を主題に大規模な制作活動を行っていたクリストとジャンヌ=クロード夫妻やニューヨークの路地や地下に見られるグラフィティーに影響されていたと言われています。日々、多くの人々が行き交い、私たちの日常生活に密接に関わる地下鉄構内は、彼にとってアーティストと社会の「架け橋」であり、制作活動を行う上で絶好の「実験室」と考えていたようです。

その後は、ポスター・アートや核放棄、エイズ予防、LGBTの認知などの社会問題にも取り組みながら精力的に制作を続けました。

個展の開催〜成功へ

ヘリングは美術家としての名声を確立すると、美術界だけでなく、音楽界でも欠かせない存在となっていました。

当時、一流アーティストマドンナやRUN DMC、デイビッド・ボウイ、シルヴェスター・ジェームスなどのアルバム・ジャケットや、マドンナの衣装デザインを手掛けており、アートと音楽の架け橋を担う重要な役割も果たしていました。1984年、オーストラリア・メルボルンにあるビクトリア国立美術館やオーストラリア現代美術センターからの依頼で、国立美術館のウォーター・カーテンを一時的にヘリングの壁画に置き換えられたり、1982年から1989年には世界中の都市で約50点以上の公共作品を制作。

1986年の春には、アムステルダム市立美術館で史上初の個展を開催し、当時の美術館の収容施設最大の壁画を描いたとされています。

「Dogs with UFOs」(1982)

ヘリングが作品のモチーフとして「犬」と「UFO」が挙げられます。その典型的な作品として「Dogs with UFOs, 1982」は、1989年、彼の作品には「犬」と「UFO」を題材にした作品が多く存在します。

この「Dogs with UFOs, 1982 」もその典型的な作品の1つです。彼の作品はシンプルかつ色彩豊かで、「ビジュアル言語」としての要素があり、多くに人々にダイレクトに伝わる構成が特徴です。

「キース・ヘリング&バリー・マッギーの壁画」(1983)

1983年2月、東京、ワタリウム美術館で日本初のヘリングの個展を開催。

ヘリングは向かいのビルを自身のアトリエとして使用し、その壁一面を1日で絵を描き上げました。壁画を描いたビルが老朽化で取り壊されたためで、壁画は現在修復作業がが行われています。

ベルリンの壁・ペインティング(1986)

1986年10月23日、ドイツのチェックポイント・チャーリー博物館と呼ばれ、ドイツ中央区に位置する冷戦時代を記念する博物館の依頼の元、ヘリングは東西を隔てるドイツの検問所の壁に絵を描きました。

約300メートルの長さを覆う検問所の壁に美術館の役員とともに6日間かけ背景を黄色で塗り広げ、赤と黒で構成された人物像はドイツの国旗や東西ドイツ間の統一を象徴するものとされています。

ポップショップを開店

「サブウェイ・ドローイング」で芸術家としての第一歩を順調に歩み始めたヘリングは、1986年初頭、地下鉄での活動を中断し、自身がデザインしたオリジナル作品を販売するために「ポップ・ショップ1号店」をニューヨークに開店。

60年代のニューヨークで産業活動に対する動きが活発化していたことに着目し、大量生産・大量消費などの大衆文化をテーマとした、当時のニューヨークの産業活動に大きく貢献していたアンディー・ウォーホールに続き、ヘリングもまた生産社会の行く末を予見していた上でのショップ開店に至ったのかも知れません。

「富裕層のためのアート」ではなく「大衆のためのアート」としてより多くの人々に彼の作品を届けたいという彼のメッセージも伝わってきます。

晩年と死

1988年、ヘリングはエイズと診断されます。翌年の1989年にエイズに関連する団体や子供たちへの教育プログラムの資金提供など福祉活動を目的とした「キース・ヘリング財団」を設立します。

財団の活動目的は、恵まれない子供たちやHIVやAIDSへの啓発活動を行う慈善団体への資金提供、また展覧会の開催や出版物の発刊など彼のアーティストとしての活動を支援することも行っています。現在は、ニューヨークにある彼の生前のスタジオを拠点に社会貢献活動を行っています。

「Fear」(1989)

1989年、亡くなる前年、ヘリングは政府にエイズ認知啓発を促すため「見ざる・聞かざる・言わざる」の3猿をモチーフにした作品《Ignorance=Fear. Silence=Death(無視=恐怖、沈黙=死)》を制作しました。

彼は雑誌『ローリング・ストーン』のインタビューで、自身のドラッグの体験から、エイズとの戦いが隠すことなく語られ、「すべてを包み隠さず喋るのは大変な勇気のいることだと感じたひともいた。(一部省略)」と語っています。

「Fight Aids Worldwide」(1990)

1990年3月16日、国際連合協会世界連盟からの依頼で、国連が発行したエイズ撲滅にキャンペーンに関する記念切手「Fight AIDS World」の初日カバーを手掛けます。絵の中の巨人は世界、エイズで倒れる人々を支える場面が描かれています。

キース・ヘリングとアーティストとの交流

1982年までにヘリングは、同時代のグラフィティ・アーティストである、フーツラやケニー・シャーフ、バスキアなどらと交流を深めてきました。

その中でも特別な交友関係を気づいていたのは、ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルです。

ヘリングは、ウォーホルをモデルにしたシルクスクリーン4点からなる連作版画「アンディ・マウス」を制作しています。アメリカ市民に馴染み深いミッキーマウスやドル紙幣を掛け合わせた作品で、親子ほど離れた年のウォーホルへの敬意が感じられます。

「アンディ・マウス」(1986)

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キース・ヘリングのコラボ商品

ヘリングの作品は、現在、様々な形で著名ブランドとのコラボレーションが実現しています。

洋服などのファッションやバックやキーホルダーなど雑貨まで、日々の生活で目にしたものがある方も多いのではないでしょうか。

例えば、ユニクロの「UT(ユニクロTシャツ)」やコーチの「財布」や「トートバッグ」、リーボックでは2013年2月の第1弾「リーボック×キース・へリングコレクション」のコラボ以来、現在に至るまでシーズンごとに新たな作品が登場しています。その他にはラコステとのオリジナルTシャツやバッグなど、数々のブランドとのコラボ作品が制作されており、彼のより多くの人々へ作品を提供するという目標は30年だった今でも留まることを知りません。

キース・ヘリング×ユニクロ 2019年秋冬商品

キース・ヘリングの作品はどこで見れる?

中村キース・ヘリング美術館

中村キース・ヘリング美術館は、2007年、山梨県の豊かな大自然の元で「混沌から希望へ」というテーマに、現代建築家である北川原温により設計・設立されました。

創設者・中村和男が1987年より収集する約300点のキース・ヘリングの作品を所蔵する日本初のキース・ヘリングの美術館です。福祉活動として、エイズ・ウォークを含めHIVやエイズの予防啓発イベント、国際絵画コンクール、災害募金などの活動を行っています。

アクセス

<車の場合>

中央自動車道「高井戸」I.C.から「小淵沢」I.C.へ約2時間

中央自動車道「小牧」I.C.から「小淵沢」I.C.へ約2時間半 「小淵沢」 I.C.から約6分

<公共交通機関の場合>

JR新宿駅より 中央線特急で約2時間 JR名古屋駅より 中央線特急で約3時間(JR塩尻駅乗換) JR小淵沢(こぶちざわ)駅下車、駅から当館までタクシーで8分

<高速バス> バスタ新宿より高速バス(新宿~茅野・諏訪・岡谷線)で約2時間半

中央道小淵沢バス停下車、バス停から当館までタクシーで5分

NYの街

彼の死後から30年経った今でも、ニューヨークの街では決して色褪せることのない彼の作品を見ることができます。ニューヨークのハーレム街で見られる壁画の1つとして「Crack is Wack(覚醒剤は馬鹿げたものだ。)」が知られており麻薬撲滅キャンペーンの一環として描かれました。ニューヨークの街を彩るヘリングの作品群は1970年代と80年代のイースト・ビレッジのアートシーンを牽引する美術家として相応しい象徴とも言えます。

2014年には、ニューヨークのイースト・ビレッジの街角には彼の作品「Selfl-Portrait, 1989」が新たに設置されました。その他に壁画作品として、ニューヨークのハーレム街には、公共の場で見られるヘリングの壁画がひっそりとたたづんでいます。

「Self Portrait, 1989」

キース・ヘリングの作品はどこで買える?

キース・ヘリングの作品やコラボ商品を手早く購入できる方法として、中村キース・へリング美術館監修のもと、彼のオリジナル作品を販売するオンラインショップ「POP SHOPがあります。

このオンラインショップでは多種多様なジャンルの商品が取り揃えられており、日本でしか手に入らないオリジナルの作品を目にすることができます。また、美術館で彼の作品と触れ合った後、店内で手に取りながら購入するのも良いかもしれません。

1987年、ニューヨークの1号店の姉妹店として東京・南青山にポップ・ショップ・東京「Pop Shop Tokyo」がオープンしましたが、開店当初は偽物が大量に出回ったことで現在では閉店しています。

中村キース・へリング美術館・オンラインショップ

まとめ

今回はグラフィティーアーティストの先駆者、キース・ヘリングについてご紹介してきました。

31歳という若さで夭折しますが、彼の意志を継ぐ現代の若きアーティストや財団の活動、世界中の街角に残された彼の作品は、彼の死後も尚、現代社会に生きる私たに何かを訴えかけています。

平和希求を願う彼の思いは今後も世界に広がり続けることでしょう。

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