アメリカグッゲンハイムニューヨークピカソ保存修復
ART

ピカソの作品から消された「犬」の絵を発見?グッゲンハイム美術館の保存修復チームが発表

パブロ・ピカソの初期の最も有名な絵画の一つとして知られる、パリのダンスホールでの賑やかな光景を描いた「Le Moulin de la Galette(1900)」。

2023年5月12日、この作品を所有するニューヨークのグッゲンハイム美術館は、同美術館でピカソの生誕50周年を記念し開催する展覧会「Young Picasso in Paris」のプレス資料の中で、同館の保存修復調査により、この作品の中に当初描かれていた「小型犬」の絵を発見したと発表しました。

 

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ピカソの初期代表作「Le Moulin de la Galette」(1900年)

グッゲンハイム美術館(アメリカ,NY)が所蔵するパブロ・ピカソの絵画「Le Moulin de la Galette」は、ルノワールやロートレック、ゴッホなど、パリで活躍した画家たちの多くから愛され、絵の題材として描かれた、パリの有名なダンスホール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」の光景を描いた作品です。

 

1900年秋、ピカソの作品がパリの万国博覧会のスペイン館に展示されたことがきっかけで、当時19歳のピカソはバルセロナからパリに赴きました。

彼はパリ滞在期間中にあらゆるものを吸収し、画廊だけでなく、丘の上のモンマルトル地区にあるボヘミアンなカフェ、騒々しいナイトクラブ、当時センセーショナルであったダンスホールにも通い詰めます。

パリの社交場とそこに集うさまざまな階級の人々の姿は、すぐに彼のインスピレーション源となり、ピカソは急速に近代化していくパリの姿を詳細に描きました。

 

ピカソがムーラン・ド・ラ・ギャレットを描いた初期の代表作品「Le Moulin de la Galette」には、電飾の下で踊る男女のグループが素早い筆致で描かれ、手前にはテーブルに座る3人の人物が描かれています。

本作は、2023年に没後50年を迎えるピカソの大回顧展「Young Picasso in Paris」に出展されており、同年8月中旬までグッゲンハイム美術館に展示されています。

グッゲンハイム美術館は展覧会のプレス資料上で、同館の保存修復調査によりこの絵に描かれていた「小型犬」を発見したと発表しました。

 

赤いリボンをつけた小型犬を発見

CNNによると、グッゲンハイム美術館の保存修復チームは、メトロポリタン美術館(NY)、ナショナル・ギャラリー(ワシントンDC)の専門家たちと協力し、「蛍光X線分析」と呼ばれる、顔料を含む絵画の化学要素をマッピングする技術を用い、この絵画の調査を行いました。

その結果、手前の3人の人物が座るテーブルの間に、当初、赤いリボンをつけた小型犬が描かれていたことが判明しました。

その姿から、犬種はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルではないか、と推測されています。

 

同美術館のシニア絵画保存修復師であるジュリー・バーテンは、CNNの取材に対し、「構図の中でかなり重要な位置にあったはずの犬を、急いで塗り潰したような跡があったことが興味深かった」とコメント。

ピカソが犬を取り除いた理由については、以下のように考察しています。

犬の赤いリボンがあまりにも目立っていたため、背後の踊るダンサーに注目がいかないと思ったからではないか。

この犬を消すことで、鑑賞者は絵画の中の魅力的な人物たちに目がいき、空間をさまざまな形で体験することができる。

 

ピカソは他にもこの絵の中で、踊るカップルの性別を入れ替えたり、椅子を描き消したり、いくつかの修正を加えていたことが今回の調査で明らかになりました。

研究チームは「絵の修正はのちにピカソの常套手段となり、本作はその最も初期の例の一つと考えられる」と発表しています。

 

没後50年を記念したピカソの大回顧展「Young Picasso in Paris」

2023年はパブロ・ピカソの没後50年にあたり、フランス、スペインを中心に世界各地でピカソを祝福する展覧会やイベントが開催されています。

世界約50ヶ所で開催が予定されているピカソ関連の企画展は、作品展示だけでなく、各美術館・専門機関の連携と最新研究によってピカソ作品の新発見を見つけ出し、ピカソに対する解釈・評価を見直すきっかけとなることが期待されています。

 

グッゲンハイム美術館で開催されている「Young Picasso in Paris」展は、今回新たに発見が見つかった「Le Moulin de la Galette」を含む、ピカソの初期の代表作10点の絵画と素描で構成されています。

ピカソ研究の最前線に触れることができる本展。

8月まで開催されているので、近くにお住まいの方やNYへ行く予定のある方は、ぜひ本物の作品を見に美術館へ足を運んでみてください。

 

Young Picasso in Paris

会期 : 2023年5月12日〜8月6日

会場 : グッゲンハイム美術館

公式HP : https://www.guggenheim.org/exhibition/young-picasso-in-paris

 

 

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